選手応援、交流拠点 いわきFCパーク「最高のロケーション」

 
館内の飲食店で専用グラウンド「いわきFCフィールド」を眺めながら食事を楽しむ家族連れ

 国内初の商業施設複合型クラブハウスとして10日開所した「いわきFCパーク」。将来のJリーグ入りを目指すクラブにとって最高の環境が整い、さらに地域のにぎわい創出や経済の活性化にも期待が高まる。「いわき市を東北一の都市に」というクラブの夢実現に向け、大きな一歩を踏み出した。

 いわきFCパークの魅力の一つ、専用グラウンド「いわきFCフィールド」を臨める飲食店では、オープン直後から順番待ちの列ができた。

 「表参道のトレンドを持ち込んだ」という、いわきFCオフィシャルカフェ「レッド&ブルーカフェ」は地元産の卵や豆腐を使ったパンケーキと自家焙煎(ばいせん)コーヒーが売り。山崎敦史店長は「グローカルをイメージしたカフェ。日常を忘れてひと息つける空間」と自信を見せる。パンケーキを注文したいわき市の会社員の男性(44)は「最高のロケーション。練習や試合を見ながら食事をするのが楽しみ」と話した。

 米国のスポーツブランド「アンダーアーマー」直営のアウトレット店は国内で唯一、米国の店舗イメージを再現した空間演出でファンを迎えるなど、各店舗が工夫を凝らしている。茨城県日立市から訪れたJ1鹿島アントラーズサポーターの男性(54)は「考え方が先進的で、施設に興味があった。チームと地域が協力して盛り上げていこうという雰囲気が感じられた」と話していた。

 ◆いわきで発信「新スタイル」

 「感無量。これから多くの人に足を運んでもらわないといけない」。チームを運営する、いわきスポーツクラブ社長の大倉智さん(48)は開所を迎えた施設に思いを新たにする。

 建設までに紆余(うよ)曲折があった。当初の計画は、選手のロッカールームなどクラブハウスとしての機能のみで、完成は昨年末の予定だった。しかし親会社ドームの「スポーツを通じて社会を豊かにする」という理念を実現するため、何度も協議を重ねてたどり着いたのが、一般市民に開放する商業施設複合型クラブハウスだった。

 練習や試合を見て選手を応援する場であり、人が集まり交流する場にもなる。「ホームグラウンド、ファシリティー(施設)があって、集える場所があるという、欧米のプロスポーツでは当たり前のスタイルができた。東北、全国、そしてアジアに発信していきたい」と大倉さん。Jリーグ入りを目指すだけではなく、新しいスポーツビジネスの形を、いわきFCパークから広めていく考えだ。