いわきFC『大金星』 J1・札幌に大勝、7部チームが快進撃

 
J1の札幌を撃破し、サポーターの前で喜びを爆発させるいわきイレブン=21日、札幌市・札幌厚別公園競技場

 いわきFC旋風が札幌の地で巻き起こった。札幌市で21日に行われた天皇杯2回戦で本県代表のいわきFC(県社会人リーグ1部)が北海道コンサドーレ札幌を撃破した。格上J1を相手に5―2の大勝。「日本のフィジカルスタンダード(身体能力の基準)を変える」と、いわきが掲げるサッカーをファンに強く印象付けた。

 国内サッカーのリーグ分けで上から数えて7番目、実質的に7部のチームの大金星は延長を含めた120分間、アグレッシブに攻め続けるいわきらしい姿勢から生まれた。技術で上回るJ1チームとの差を補うため攻守に走り続けたいわきイレブン。延長戦になってもその力は衰えることがなく、空中での競り合いや球際でJ1相手に上回り、番狂わせを演じた。

 一進一退の攻防からの先制。得点を与えてもリードを許すことなく、徐々に圧倒し、J1を打ち破った。最終的なスコアは5―2。札幌サポーターは押し込まれ突き放された試合にさじを投げたのか、試合終了のホイッスルを聞く前に会場を去っていく姿もあった。

 試合後、田村雄三監督は「球際のシンプルなところで絶対負けるなと言い聞かせた。延長戦になっても自分たちから前に出る選手たちはたくましかった」と選手を評価した。

 会場にはいわきサポーターが駆け付け、完全アウェーの中で選手に声援を送り続けた。いわき市の会社員引地孝市さん(48)は「いわきからの応援が選手にも伝わったはず。この劇的な勝利に酔いしれたい」と、選手の戦いぶりをたたえた。