いわきFC、攻めて「7冠」 全国クラブサッカー選手権で連覇

 
【いわきFC―AS刈谷】ドリブル突破を図るいわきFCのFW吉田(23)=岩手県・遠野運動公園陸上競技場

 いわきFC(東北第1代表、県社会人リーグ1部)が東海代表のAS刈谷(愛知県リーグ2部)を下し連覇を果たした、31日の第24回全国クラブチームサッカー選手権大会決勝。大会規定上、地域リーグ以上のカテゴリーに所属するチームは出場できないため、来季、地域リーグの東北社会人リーグ2部に昇格予定のいわきは最後の出場となったが、連覇で有終を飾った。

 いわきは今季、第22回県選手権大会・第97回天皇杯全日本選手権県代表決定戦、第24回全国クラブチーム選手権県大会、第53回全国社会人サッカー選手権県大会、第53回全国社会人サッカー選手権大会東北予選会、第24回全国クラブチーム選手権大会東北大会、県社会人リーグ1部で頂点に立ち、クラブチーム選手権で7冠を達成した。

 走り続けた70分

 1日1試合70分を4連戦。過酷な試合日程を消化しながらいわきFCイレブンは足を止めることなくピッチを駆けた。

 田村雄三監督は今大会、守備固めをしてきた相手への対応策として攻撃に厚みを持たせるため、守備を減らして攻撃を増やす特殊布陣「2―1―5―2」を試した。普段は攻撃の最前線にいるFW吉田知樹(いわき市出身)はトップ下に配置。守備ではパス回しの起点となり、攻撃はつなぎ役となりながら好機に自ら得点を狙った。

 決勝の前半32分、吉田は相手のクリアミスを見逃さずにドリブルで中央突破。4戦目にして自身初ゴールを決め「チームメートのおかげで自由にやらせてもらった」と手応えを語った。

 チームは1試合平均4.5点を挙げたが、課題も残った。攻撃を厚くした分、攻められた際の守備のフォローが大切になるが、連係の乱れか、決勝では初失点。指揮官は「みんなが周りを見ていなかった結果」と反省点を述べた。

 ただ、いわきの魅力は何と言っても鍛え抜いた肉体を駆使した攻撃力。田村監督は「守備を減らすことをリスクと思っていない。奪われたら奪い返すサッカーをしていく」と新境地を開く覚悟だ。