いわきFC、2017年総括「夢への一歩(下)」 地域根差して成長

 
いわきFCが地域に溶け込み、存在感を大きくしている=12日、いわきFCフィールド

 本格始動2年目のシーズンを終えたサッカーのいわきFC。県社会人リーグ1部優勝や全国クラブチーム選手権大会2連覇など7タイトルを獲得し、東北社会人リーグ2部への昇格を決めた。田村雄三監督が就任した今季の戦績は公式戦31勝2敗。J参入を目指すチームの1年を振り返る。

 支援体制構築

 市民の間で「いわきFC」が話題に挙がるようになった。サッカー天皇杯のJ1撃破など選手の躍動だけが理由ではない。いわきスポーツクラブの理念に賛同する団体の支援体制が構築されるなど、チームが市民の生活に溶け込み始めている。

 「夢実現に向けて『チームいわき』で前進していく」。同クラブ社長の大倉智は、「いわき市を東北一の都市にする」という理念実現に向けた行政、民間団体の支援に大きな手応えを感じた。

 7月に市、いわき商工会議所など5団体による共同宣言が発表され、10月には「スポーツによる人・まちづくり推進協議会」が発足した。70団体が加盟し、さらに増える見込みだ。

 推進協は「いわきFC」を核に市民の健康増進やPR発信強化、人材育成など将来の方向性を示す。いわき商議所会頭の小野栄重は「いわきFCはいわきの魅力、感動を発信する大きな手段になる」と期待する。

 7月に全面開業した国内初の商業施設複合型クラブハウス「いわきFCパーク」の存在も大きい。開業4カ月で約20万人がクラブハウスを訪れ、当初想定した年間来場者数27万人を上回るとみている。

 加入者を大きく伸ばす子ども対象のアスレチックアカデミーでは、選手も一緒に体を動かす。また、地区の祭りなど地域のイベントに参加して、試合とは違う一面を見せる選手の存在も大きい。3シーズン目に向けて新体制の準備も進んでおり、地域に根差したチームづくりで着実に階段を昇る。(文中敬称略)