いわきFC狙う無敗V 東北社会人リーグ1部、強豪にひるまず

 
盛岡ゼブラに勝利し、サポーターにあいさつするいわきFCイレブン=岩手県営運動公園

 サッカーの東北社会人リーグ1部を17戦無敗で戦い抜き、いわきFCが最終節を残した段階で優勝をほぼ確実にした。29日の盛岡ゼブラ戦の勝利で日本フットボールリーグ(JFL)昇格が懸かる11月の全国地域チャンピオンズリーグ(CL)への出場権もほぼ手中に収め、チームはさらに勢いづく。

 JFLを狙う強豪との対戦が続いた東北社会人リーグ1部。いわきは昇格1年目ながら、昨季の無敗王者ブランデュー弘前FC(青森)や昨季JFLのコバルトーレ女川(宮城)といった強豪を相手にも1勝3分けと無敗で乗り切った。この4試合の総得点が3にとどまるなど課題も見えたが、それ以外の試合では磨き上げたチーム力で勝ち星を重ね、1位の座を守り通してきた。

 無敗継続の理由の一つに、今季の新戦力台頭がある。田村雄三監督(36)は開幕時から「右肩上がりでいけるようにチームをつくりたい」と繰り返してきた。そのためにリーグ戦は多くの選手を試合で起用し、新加入選手や10代の選手にも経験を積ませる育成方針を貫いた。

 新加入選手らの活躍でチームは活性化し、既存の選手の成長にもつながった。29日の試合で3得点した所属4年目のFW吉田知樹(21)もその1人。課題だったシュートの精度を磨きながら、公私ともに親交が深い新加入のFW宮沢弘(24)と切磋琢磨(せっさたくま)してきた。吉田知は「今までは苦戦していたような強豪相手でも、今は勝ちきる自信がある」とCLに向けた自信をのぞかせる。

 選手の応援を続けたサポーターも「リーグ戦を通して着実に強くなっている」と確信する。29日の盛岡戦にも福島県からサポーターが集結した。

 いわき市の会社員、男性(60)は「期待を集めるチームに成長している」と目を細める。CLを前に、10月には3年連続苦杯をなめた全国社会人選手権(全社)を控える。「リーグも全社も制し、ダブルの喜びで勢いに乗ってCLに臨んでほしい」と期待を寄せた。

 ◆JFL昇格条件 全国地域CL、2位以内

 いわきFCが目指すJFL昇格は、各地域リーグの上位チームが出場する全国地域チャンピオンズリーグ(CL)で2位以内が条件。出場権は東北社会人リーグ1部優勝で獲得する。CLには、全国9地域最上位のリーグの優勝チームのほか、全国社会人選手権(全社)の上位チームなど計12チームが出場。1次ラウンドを突破した計4チームが決勝リーグに進出。2位までがJFLに自動昇格する。