【コラム】WALK TO THE DREAM-48 JFL昇格

 

 ◆いわきスポーツクラブ・大倉智社長

 ◆震災10年目、全国舞台へ

 11月に行われた全国地域チャンピオンズリーグ(地域CL)で優勝し、来季の日本フットボールリーグ(JFL)昇格が決まった。本格始動から4年目。東北のリーグを一歩一歩勝ち上がってきた結果であり、素直にうれしい。

 地域CLには、東北社会人リーグ1部で優勝して初めて出場した。強豪ぞろいで展開が読めなかったが、3連戦の1次ラウンドを勝ち抜いた勢いが決勝ラウンドまでそのまま続いたように感じている。

 若い選手が多いチームは年間を通して安定していたわけではない。指導陣は、我慢強く選手に成長を促してきた。10月の全国社会人サッカー選手権大会で3位になったが課題は多く、1次ラウンドで初めて一つのチームになることができた。

 1次ラウンドが秋田県、決勝ラウンドがJヴィレッジと、東北で行われた地域CLで昇格が決まったことには不思議な巡り合わせを感じる。東日本大震災を契機に発足したいわきFCの存在意義を再確認することができた。

 主将の平沢俊輔は、震災前にJヴィレッジを拠点にしていた日本サッカー協会(JFA)アカデミー福島の出身。Jヴィレッジスタジアム隣には、アカデミーの寮がそのまま残っている。「これ、僕の自転車です」という平沢の言葉に驚いた。

 震災直後、原発事故の作業車用駐車場だったJヴィレッジ。そこからの復活に要した長い時間。それらを飛び越え、震災から10年目を迎える2020年に全国で戦う舞台をつかみ取った選手たち。そのストーリーに感動すら覚える。

 選手たちも、このチーム、この場所でプレーすることの意味を感じ取り、いつも以上のプレーをしていた。スポーツの素晴らしさ、良さを改めて感じることができた大会だった。

 おおくら・さとし 川崎市出身。早大商学部卒。現役時はJリーグの柏レイソルやジュビロ磐田などでFWで活躍。引退後はセレッソ大阪チーム統括ディレクター、湘南ベルマーレGM、社長などを歴任し、2015年12月から現職。50歳。