【JFL初参戦の軌跡(上)】悔しさ来季に 守備固め苦戦「課題」

 
試合終了後、スタンドにあいさつするいわきFCの選手たち=宮崎県総合運動公園陸上競技場

 J3昇格まであと一歩のシーズンを終えた。29日に宮崎市で行われたサッカーJFL今季最終節で、テゲバジャーロ宮崎に敗れ、Jリーグ入りを逃したいわきFC。試合終了のホイッスルが鳴り、ピッチに立ち尽くした選手には無念さがにじんだ。ただ、JFL初年度で昇格争いをした選手たちは「来季にこの経験を生かす」と力を込め、前を向いた。

 新型コロナウイルス感染症の影響で、試合数が半減した特別なシーズンを戦い抜いた選手たち。主力選手として活躍したFW平岡将豪選手(25)=JFAアカデミー福島出身=は「サポーターを楽しませたいとの思いだった。昇格して地元を盛り上げたかった」と唇をかんだ。リーグ戦は厳しい戦いの連続だった。いわきFCは選手の体力を生かし、前線から激しい圧力で攻撃を仕掛け続けるサッカーを持ち味とするが、他チームから攻撃力を警戒され、守備を固められることが多かった。

 田村雄三監督(37)が「多くの相手がスタイルを変え、いわきに合わせた戦術で臨んできた」と分析するように、持ち味の攻撃力が消され「90分間攻め続けるサッカー」を発揮できない試合も目立った。MF日高大選手(25)は「シーズンを通じて、思うように相手の守りを崩せなかったのが課題」と振り返った。ただ、新型コロナに選手が感染して全体練習が休止することもあった中、練習で修正を繰り返し、最終戦まで昇格争いに残った。

 現地で観戦したいわきFCを運営するいわきスポーツクラブの大倉智社長(51)は「昇格はできなかったが、よく戦ってくれた。今年はホーム戦の来客が増えるなど、にぎわいの広がりを感じるシーズンだった」と選手たちをねぎらった。