【コラム】WALK TO THE DREAM-65 震災から10年

 

 ◆いわきスポーツクラブ・大倉智社長

 ◆風化させない活動継続

 間もなく東日本大震災から丸10年を迎える。震災を直接体験していない立場でこの「10」という数字を語るのはおこがましいかもしれない。ただ、いわきFCが始動してからの5年間、いわき市で生活し復興の歩みを直接見て感じてきたという自負はある。

 昨年、本拠地を双葉郡にまで広げた。住民帰還の呼び水になればと活動しているが、10年経過してまだ復興が進んでいない場所、大きく変化している場所、二極化していることが分かる。被災者ではないので当時に思いを巡らせることはできないが、いわきFCのプロジェクトに参加していなかったら、今の環境にも無関心だったろう。イメージできても、実際の姿は見えていなかったのではないか。「震災10年より新型コロナ対策」とか全国ニュースを見ていると、これが風化ということなんだと感じることがある。

 震災を忘れない、風化させないためにぼくらがスポーツでできることは何かを考えながら進んできた。観戦して楽しい試合を見せて、子どもたちの光になれるような選手を育てる。スポーツ教室を通して健康を手伝ったりできることを継続してやっていきたい。

 3月11日には、追悼行動を取ってきた。今年は28日に福島UとJヴィレッジで練習試合、3月14日にはJFLホーム開幕戦もある。福島Uの時崎悠監督は、田村雄三監督と湘南ベルマーレ時代に一緒で、当時ぼくは強化部長で2人に携わっていた。さらにJヴィレッジの上田栄治副社長が2005年当時の監督だった。

 それぞれの立場で切磋琢磨(せっさたくま)して福島県のサッカー界、スポーツ界を盛り上げていこうと話している。ここにいわきFCがあるという意味は大きい。ぼくたちは震災を「忘れない」ための活動を続けていく。

おおくら・さとし 川崎市出身。早大商学部卒。現役時はJリーグの柏レイソルやジュビロ磐田などでFWで活躍。引退後はセレッソ大阪チーム統括ディレクター、湘南ベルマーレGM、社長などを歴任し、2015年12月から現職。51歳。