2年ぶり「福島ダービー」両雄プライド激突 天皇杯サッカー

 
天皇杯県代表を決め、サポーターの前で優勝カップを掲げるいわきFCイレブン=福島市のとうほう・みんなのスタジアム

 県王者を決める「福島ダービー」が2年ぶりに実現した。9日に福島市のとうほう・みんなのスタジアムで行われたサッカーの天皇杯県代表決定戦決勝で、いわきFCと福島ユナイテッドFCは、互いのプライドを懸けた激闘を繰り広げた。

 両雄が決勝で顔を合わせるのは5度目。昨年は新型コロナウイルスの影響で大会中止となっており、今回は多くのサポーターが熱戦を見守った。

 2―0で勝利したいわき。2月の親善試合で福島に敗れた反省を生かし、福島対策の布陣で臨んだことがうまくいった。一方、「戦術よりも、目の前の相手に負けるな。相手より走れと精神的なことばかり伝えてしまった」と田村雄三監督。ただ、この一戦に懸ける思いの強さが、勝利を呼び込んだ。2ゴールを決めたFW岩渕弘人選手も勝利を渇望していた一人。「試合前に2月の失点シーンを見て悔しさが湧いていた」と闘志を燃やした。

 県代表決定戦では3連敗中の福島も、サポーターが注目する一戦に負けるわけにはいかなかった。

 しかし、選手の新型コロナ感染があり、2日に活動を再開したチームは本調子とはいかず、後手に回った。5人の交代枠を使い切って総力戦で敗れたことに、主将のDF河西真選手は「相手の勢いを受けてしまった。自分たちのアグレッシブなサッカーを出せなかった」と悔やんだ。試合後、サポーターと喜ぶいわきの選手を見つめていた時崎悠監督も「ただ悔しいだけでは先につながらない。次に生かしたい」ときょうの敗戦を胸に刻んだ。

 J3を戦う福島とJFLのいわき。今は1年に1度の福島ダービーだが、いわきがJ3に昇格すればJリーグで相まみえる。高め合う両チームがJリーグの舞台で戦う時をサポーターは待ち望んでいる。