大倉社長コラム〈70〉WALK TO THE DREAM 「東京五輪」

 

 ◆いわきスポーツクラブ・大倉智社長

 ◆コロナ下、必要な想像力

 「復興五輪」としてスタートした東京五輪だったが、いつの間にか「新型コロナウイルスに打ち勝つ」というスローガンに変わってしまった。

 会社組織であれば存在意義や何を目指すのか、何を伝えるのかは一番大切である。WHATやHOWよりも「WHY」の世界観だ。そもそも五輪は、金メダルを取ることではなく、世界平和が本来の目的であるはず。復興五輪としてJヴィレッジから聖火がスタートしたことが本当にむなしく、憤りを感じる。

 開会式を見て少し違和感を覚えたのでツイートした。笑顔や手を振って自分を表現するのはいいが、ちょっとはしゃぎすぎだと感じたからだ。緊急事態宣言下の開催の裏では、医療従事者が奮闘されていて正直スポーツどころではない。そこに少しでも想いを馳せられるなら、選手たちの強い意思と感謝を忘れない満面の笑顔で充分だった。

 スポーツや芸術文化は、社会情勢で大きく立ち位置がかわる。誤解を恐れずに言えば、スポーツはなくても生活はできる。でも、こういう時だからこそスポーツは必要だ。矛盾するようだが、選手には人々に感動を与える影響力があるからだ。だからこそ、社会情勢や想像力が必要だと思う。

 といいながらも五輪では、いろいろなスポーツに触れながら楽しんだ。海は怖いので、やろうとは思わないが特にサーフィンは面白かった。五輪の花形はやはり陸上競技。メジャー種目は参加選手のレベルがあまり高くなかったように感じたが、バスケットボール女子は見ていて興奮した。

 コロナ禍の五輪は準備段階から開幕直前まで多くの問題が顕在化し、その過程でヒト・モノ・カネの裏側が透けて見えた。スポーツの祭典を通じて、さまざまなことを考えさせられた。

 おおくら・さとし 川崎市出身。早大商学部卒。現役時はJリーグの柏レイソルやジュビロ磐田などでFWで活躍。引退後はセレッソ大阪チーム統括ディレクター、湘南ベルマーレGM、社長などを歴任し、2015年12月から現職。52歳。