いわきFCサポーター「街の誇りだ」 J3昇格内定に笑顔と涙

 
いわきFCのJ3昇格内定を喜ぶサポーターら=広野町・Jヴィレッジスタジアム

 「浜通りの誇りだ」。いわきFCが念願のJ3昇格を決め、Jヴィレッジスタジアムに詰め掛けたサポーターに笑顔と涙があふれた。

 「まだ実感が湧かない」。私設応援団員のいわき市の北沢卓さん(48)は、試合後にピッチを回る選手に笑顔で手を振った。「亡くなったサポーター仲間の顔が浮かぶ。始めは浜通りにJクラブが誕生するなんて夢にも思わなかった。必ず報告しないと」と感慨深げだ。

 「闘い貫き歴史を刻め、お前達はこの街の光」「最後に笑え、共にJへ」。試合後、観客席に2本の横断幕が掲げられた。制作に携わった私設応援団員のいわき市の中島颯人さん(19)は「コロナ下で応援時に発声できないため、文言には強い気持ちを込めた。やってよかった」と喜んだ。

 初めて観戦したいわき市の影山篤さん(18)は「コロナ下で街に元気がなくなっているが、J3昇格で盛り上がる。これからは試合を見に来たい」、同市の関口遥真君(12)は「絶対勝つと信じていた。ずっと応援し続けたい」と笑顔を見せた。

 郡山市の会社員柳沼直彦さん(50)は「絶対にJ3に上がってほしかった。歴史的瞬間に立ち会うことができた」と興奮冷めやらぬ様子だった。

 福島U「ダービー楽しみ」

 県内サッカー界からは、いわきFCの快挙を祝う声が上がった。県サッカー協会の菅野貴夫会長は「昨季は昇格できず悔しい思いをした分、今季は期待していた」と語った。その上で「J3には福島ユナイテッドFCもいる。切磋琢磨(せっさたくま)してほしい」と本県サッカーの盛り上がりにつながるようエールを送った。

 サッカーJ3の福島ユナイテッドFCを運営するAC福島ユナイテッドの鈴木勇人社長は「真剣勝負をするのが楽しみ。意地のぶつかり合いになるはず」とJの舞台での「福島ダービー」を熱望した。

 地元「観光期待」「市民に勇気」

 いわきFCのJ3昇格確実を受けて地元関係者からは喜びの声が上がった。

 いわきFCを応援する「スポーツによる人・まちづくり推進協議会」で会長を務める小野栄重いわき商議所会頭は「昇格は地域一丸となった応援があってこそ。昇格は観光面で大きなプラス要因となる」と経済再生の起爆剤となることを期待した。

 いわき市の内田広之市長は「今季の懸命に戦うチームの姿は多くの市民に勇気と感動、夢を与えた。来季は一戦必勝でさらに高みを目指して躍動することを期待する」とコメントした。

 ホームのJヴィレッジスタジアムがある広野町の遠藤智町長は「待ちに待った勝利の瞬間が訪れた。広野町はJ3での活躍を応援していく」とコメントした。

 Jヴィレッジの上田栄治副社長は「気迫のこもったプレーだった。原発事故の収束拠点だったJヴィレッジで昇格を確実にしたことは意義深い。これからも浜通りに希望を届けてくれると信じている」と話した。