【Jへ翔る(上)】「夢舞台」へ速く強く 挑み続ける肉体改革
「クラブのビジョンに立ち返り、(J3でも)クラブの戦い方を探し続けたい」。いわきFCを運営するいわきスポーツクラブの大倉智社長はJ3昇格が決まった25日、力強く言い切った。県社会人リーグから一つ一つ階段を駆け上がってきたクラブとイレブンの挑戦が来季、Jリーグという大舞台で再び始まる。
昇格決定を受けて会見した大倉社長と田村雄三監督が並ぶ会見場の奥には、いくつものトレーニング器具が並んだ。「フィジカルスタンダードを変える」。始動当初から掲げてきたクラブの理念だ。
選手はシーズン中から積極的な筋力トレーニングを取り入れ、栄養管理も徹底。日本人は肉体改造には向かないとされるサッカー界の常識に挑み、その新しい取り組みがチームを取り巻く環境や選手たちの意識を変えてきた。
昇格を成し遂げた選手たちもその環境にひかれて集まった。在籍2年目のFW鈴木翔大は、クラブの本気度にひかれて入団。JFLのソニー仙台FCに4年在籍し、J3昇格を果たしていったいくつもの強豪と実際に対戦してきた。「クラブが環境を整え、選手を育てようと考える。これだけ本気だと選手も中途半端にできない。間違いなく強いクラブになると思った」
戦いのステージが上がってもぶれずに理念を貫いてきた。アマチュアの強豪が集うJFLで昇格を決めた今季も、高い身体能力は際立った。チームの得点の約45%を体力的に苦しくなる試合後半の30分間に奪っており、今季加入したMF嵯峨理久も「この1年で体感で速く動けるようになった」とし、「今後も体がどう変化するのか楽しみ」とJ3でのさらなる強豪との対戦に期待する。
「取り組んできたことは間違ってなかったと思う」。チームを指揮してきた田村監督もこれまでの挑戦に手応えを感じている。「いろんな人が興味を持ってくれているし、常識を覆せているんじゃないかな」
今季は残り2試合。JFL優勝のタイトルも懸かる。会見で田村監督は「今季もまだいわきのサッカーを見せられる場面がある。応援してくれる人が見に来たくなるような戦いをしたい」と意欲をにじませた。
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いわきFCの来季のJ3挑戦が正式に決まった。クラブ本格始動から6年、歩みと来季への展望を探る。
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