【2年目の軌跡(下)】根付くチーム内競争 起用法で意識醸成

 

 今季、いわきFCの選手がシーズンを通して口にしたのは、チーム内の競争の激しさだった。先発メンバーの組み合わせは何度も変わったが、その中で着実に勝利を重ねることに成功した。副主将のFW鈴木翔大は「誰が出てもいわきらしいサッカーができた」と話す。

 今季、FWでは古川大悟や吉沢柊(しゅう)、DFでは嵯峨理久(りく)など、新加入選手が活躍。昨年の主力選手もベンチを温める機会が増えた。特にセンターバック陣の競争は激しく、全試合の半分以上をフル出場した選手が、8選手の中でDF黒沢丈ただ1人だった。

 起用法も競争を促した。「当日のメンバーは、試合直前の紅白戦から変わることがほとんどだった」と田村雄三監督。固定のメンバーが連係を深めることよりも、全員が試合に出るための準備、練習をすることや、競争意識の醸成を優先した。

 その効果を象徴したのは中盤戦の第12節松江シティFC戦。主力の左サイドバック日高大をけがで欠いたが、控えDFが穴埋めして勝利。田村監督は「あの試合は総力戦で勝てた。印象に残っている」と振り返った。その後3試合も日高なしで勝ち星を重ね、4戦を3勝1分けで乗り切った。

 一方で、最も換えの利かなかったのはMF山下優人とMF宮本英治のボランチコンビだ。山下は全試合フル出場、宮本は欠場が2試合のみで、田村監督は「競争が起きなかった。補強ポイントだね」とした。来季はさらに競争が激しくなりそうだ。