いわきFC、さらなる高みへ J2ライセンス、波及効果に期待

 
J2ライセンス交付について「震災被災地がもっと元気になれば」と抱負を語る大倉社長

 Jリーグが25日開いた理事会で、J2昇格に必要なライセンスが交付されることが決まったJ3のいわきFCと福島ユナイテッドFC。本県のサッカー界を先導するプロサッカークラブが次のステージに駆け上がるための大きな足掛かりを得た。取材に答えた両クラブの社長は、地域振興や地域経済へのさらなる波及効果に期待を寄せた。

 昇格目前「被災地元気に」

 「東日本大震災の被災地がもっと元気になってくれたり、本県産の食べ物への風評被害の防止に還元されたりするきっかけになるかもしれない」。いわきFCを運営するいわきスポーツクラブ(SC)の大倉智社長は、昇格でより多くの交流人口が見込まれるとし、地域振興への波及効果が生まれることを期待している。

 大倉社長は「J2ライセンスは私たちの努力だけではできないこと。一番はスタジアムの環境を、内田広之いわき市長が言い出して整備してくれた。いわきグリーンフィールドの改修なくしてライセンスはなかった」と地域一体で勝ち取った成果だと強調した。

 J2昇格の意義については「地域の人たちに、より高いレベルのプロ興行をスタジアムで見てもらう、県外から来る人が増えるという経済効果だ」と二つの側面があると指摘。今季、入場者平均約2千人のうち100人ほどがアウェーからの来場だ。「J2になると恐らく500~千人ほどが来てくれるだろう。地域の経済効果を生み出したい」と述べた。

 リーグ首位を守るいわきは、30日にも昇格の2位以内が決まる可能性がある。「まだ残り4試合あるので、気を抜かず最後までやっていく」と大倉社長。来季のJ2参戦に向け「ステージが(J3とは)完全に変わり、簡単ではない。厳しい環境の中で選手たちの成長を見られることが楽しみだ」と意気込みを語った。

 スタジアム整備必要

 来季のJ2ライセンスが交付されたいわきFC、福島ユナイテッドFCはともにスタジアム施設基準の例外適用申請による取得で、今後のスタジアム整備が求められる。

 いわきは今季、Jヴィレッジスタジアム(広野町)をホームとしているが、J3の基準は満たしていない。いわき市は来年3月までの完成に向けいわきグリーンフィールドを改修しており、完了すれば例外適用で必要な基準を満たす。スタジアムについて大倉社長は「リーグ発足から30年近くたち、環境や経営の変化がある中、どのようなものが良いか議論されていくだろう。ベストな方法を探れるよう関係各所と連携していくことに現実味が帯びてきた」と述べた。

 福島のホーム、福島市のとうほう・みんなのスタジアムは、J2の規定で入場可能数(座席8000席など)だけを満たしていない。鈴木社長は「同スタジアムをさらに改修するよりも、サッカー専用スタジアムを新設して、スポーツ文化の向上などに寄与したい」と展望を示した。

 チェアマン「切磋琢磨を」

 Jリーグの野々村芳和チェアマンは25日の記者会見で、いわきと福島がJ2クラブライセンスを取得したことに「環境、経営、成績を含め、少しでも上を目指そうと具現化したのがライセンスだ。福島県内の二つのクラブが切磋琢磨(せっさたくま)し、日本のサッカーを成長させてくれる場所になっていくと期待している」と語った。