いわきFCのJ1基準スタジアム整備へ いわき市、計画に協力

 

 いわき市の内田広之市長は1日、サッカーJ3のいわきFCが今後進めるJ1基準を満たしたホームスタジアムの整備計画の作成に市として協力する方針を初めて示した。将来的なJ1昇格を目指すクラブにとって基準を満たしたスタジアムの整備は不可欠で、市は補助金を申請するなど整備費も含め協力する。いわきFCが今季J2昇格を果たした場合、2025年6月までの計画提出が求められる。記者会見した内田市長は「クラブと連携、協力して3年後を目標に対処していきたい」と述べた。

 いわきFCは今季21勝6分け4敗(1日現在)で首位を快走。上位チームの成績次第となるが、早ければ6日にも来季のJ2昇格が決まる可能性がある。

 クラブは10月、ホームスタジアムを将来的なJ2基準にするとした例外適用申請を行い、J2ライセンスを取得した。例外適用のため、昇格から少なくとも3年以内にJ2基準のスタジアムの整備計画をJリーグに提出する必要があり、来季J2に参入した場合、遅くとも25年までに整備計画を提出し27年までの着工、31年のシーズン開幕前日までの完成が求められる。

 クラブの来季のホームスタジアムは、J3基準を満たすため観客席の増席などの改修が行われているいわきグリーンフィールド(いわき市)。市によると、J1で使用されているスタジアムの整備費は100億~300億円ほどで、市は整備に活用できる補助金などを国に申請する方針。クラブを運営するいわきスポーツクラブの大倉智社長は「上を目指して進んでいきたい。行政関係のバックアップに感謝したい」とコメントした。

 整備計画は現在白紙の状態で、市とクラブは今季終了後に具体的な協議に入る。内田市長は「スタジアムの問題で昇格できない、降格してしまうなどという状況にならないように官民一体で考えていく」とした。

▽J1スタジアムに 求められる主な基準
・入場可能数 1万5000人以上(椅子席1万席以上)
・屋根 新設または大規模改修するスタジアムは原則、観客席を覆う
・照明 ピッチ内のいずれの箇所でも照度1500ルクス以上の明るさ
・スコアボード 大型映像装置の設置

 活性化へ市民期待

 いわき市が、J1基準を満たすいわきFCのホームスタジアム整備計画に、協力する方針を示したことを受け、サポーターや市民からは、地元活性化の核となる施設への期待の声が上がった。しかし、市の財政や維持管理の方法を懸念する声も聞かれた。今後のチームや市、関係者の議論が注目される。

 「J2より上の規模になれば、これまでとは桁違いのサポーターが訪れる。スタジアム整備は滞留人口の増加をはじめ、多くの面で効果が大きい」。いわきを5年以上にわたって応援している会社員鈴木大さん(48)はスタジアム整備に賛成の立場だ。整備には大規模な投資が必要となる見込みだが、鈴木さんは「見合った成果は間違いなくある」と力を込めた。会社員鈴木一朗さん(57)も同じく建設に賛成し、「集客力が高い施設ができるのは良いこと。街がにぎやかになる」と歓迎した。一方で、公務員前田百恵さん(38)はチームを応援するサポーターの気持ちに共感しながらも「どのように運営していくのか。スタジアムをどのように地域に生かしていけるか心配だ」と指摘した。

 いわきFCを支援するスポーツによる人・まちづくり推進協議会の小野栄重会長(いわき商工会議所会頭)は「J2昇格の可能性大となっているのは、市が早々にいわきグリーンフィールドの改修に踏み切ってくれたことのおかげ」とこれまでの施設整備を評価する。ただ、J1仕様のスタジアムはハードルが高いと指摘し、「市民全体の理解が必要。運営母体や設置場所などについて協議会をつくって話し合いたい」とした。