【いわきFC・J2に挑む】「行ってみたい」創出へ 駅前活用策
発足以来、異例の強さでリーグの枠組みを駆け上がってきたいわきFCだが、Jリーグの中では新興クラブ。プロスポーツチームが地域に根付く取り組みに終わりはなく、厳しいJ2を戦い抜くためにも、地域と一体となった盛り上がりをどれだけ生み出せるかが試される。
昇格で来場者の増加が予想される中、来季の本拠地いわきグリーンフィールド(いわき市)の駐車場不足が懸念されている。チームを運営するいわきスポーツクラブの大倉智社長は「駐車場問題が最大の懸念点。地域住民に迷惑をかけてはいけない」と語気を強める。
同フィールドが入る21世紀の森公園の駐車場は約1200台分。公園内には野球場や新型コロナウイルスワクチンの接種会場などもあり、サッカー観戦以外の利用者も訪れる。このため「全ての観客が車で来ると渋滞してしまう」と大倉社長。実際に同フィールドで行われた今季のホーム戦2試合でも公園の外まで車が連なり、渋滞が発生した。
クラブは市と協力して対策を練っているが、重きを置くのは最寄りとなるJR湯本駅の活用促進だ。駅から会場までの距離は約1.5キロ。徒歩を促したり、シャトルバスを運行したりするなどして、来場者と駅周辺の商店街との接触を増やす取り組みを検討しているという。
いわき湯本温泉観光協会の箱崎洋一会長は「訪れた人に『来て良かった』と思ってもらえるような土壌を、湯本を中心につくりたい。まだまだ手探りだが、市とも連携して受け入れを進めていく」と、地域を挙げた対応に意欲を見せた。大倉社長は「サポーターに、なるべく駅に降り立ってもらうことが地域にとっても大事だ」と意義を語る。
チームと地域との直接的なつながりも強まった。新型コロナウイルスの影響から復活を始めた地域のイベントに、選手たちが積極的に飛び込んだ。J3での快進撃も後押しし、平均入場者数2121人(第32節現在)は昨季と比べて800人近く増加した。
J2のホーム戦ではアウェーサポーターの来場が増える一方、より多くのいわきサポーターを呼び込むことも不可欠だ。大倉社長は次の舞台を見据える。「さまざまな娯楽の中からサッカーを選んでもらわないといけない。『イベントで会った選手が優しかった、格好良かった』などと思ってもらえれば、足を運んでもらえるはず。クラブがより日常にいられるよう(地域との)接点を増やしたい」
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この連載は小磯佑輔が担当しました。
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