【J3つかんだ頂点/上】いわきの強さ 最後まで落ちない運動量

 
鹿児島戦で先制し喜びを見せるいわきイレブン。リーグ終盤も快進撃は続いた=6日、広野町・Jヴィレッジスタジアム

 いわきFCはJ3初挑戦で優勝とJ2昇格を成し遂げた。鹿児島や松本山雅などJ2を経験した実力あるクラブを抑え、頂点に立てた要因はどこにあるのか。強さの理由や、J2を戦う来季に待ち受ける課題を探る。

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 今季72得点、23失点。得点の多さと失点の少なさはともにリーグ最高の数字だ。最後まで快進撃を続けたいわきのスタイルを象徴する合言葉として、「攻守一体」「ボール中心」「全員攻撃・全員守備」の三つが挙げられる。

 相手の攻撃をハイプレスで追い回し、自陣からは素早く敵陣にボールを送り込むスタイルを貫いた。狙いは、敵陣に攻撃か守備か判然としない「攻守一体」の状態を多くつくること。崩れた相手陣形の隙を、相手の帰陣よりも速く突くことが最大の目的だ。

 「攻守一体」を成り立たせたのは、「ボール中心」のコンパクトな陣形。攻撃の際も選手全員がボールサイドに寄った立ち位置をとり、奪われてもすぐに数的優位な状態からプレスを始める。村主(すぐり)博正監督は「選手には『自分たちの距離』を見つけようと話をしてきた」と明かす。

 コンパクトな陣形を保つために、選手の運動量と献身性は必須だった。「全員攻撃・全員守備」のプレーをこなせるかどうかが起用の最優先事項に据えられ、選手がその要求に応え続けたことが今季の躍進の土台にある。ハードワークで相手を上回り、運動量の落ちる後半に一気に攻略する展開が必勝パターンとなった。全得点の72%を後半に挙げた。

 6日の鹿児島戦、得点王のFW有田稜がリーグ優勝を受けて放った言葉は、チームの強みを的確に表現していた。「自分たちは誰よりも走っている。きついことをやった結果だ」