【J3つかんだ頂点/下】いわき 試合数増、主力脅かす競争必要

 
松本山雅戦でシュートを放つDF嵯峨理久(左)。この試合も厚い守りに悩まされた試合の一つだ=8月17日、広野町・Jヴィレッジスタジアム

 得意とする戦いに引きずり込むことで無類の強さを発揮したいわきだが、カテゴリーの上がるJ2で通用するかは未知の領域だ。試合数も今季より8試合増えるほか、天皇杯とルヴァンカップもリーグ戦と並行して行われ、実力的にも体力的にもタフなシーズンとなることは間違いない。シーズンを乗り切るには、戦力の底上げは必須だ。

 今季最終節のYS横浜戦、先制に成功したが、2点目が遠く引き分けた。攻め続け、放ったシュートは相手の3倍に迫る19本。引いて守る相手への決定力不足は、シーズンを通して選手の口から聞かれていた。その典型のような試合だった。

 村主(すぐり)博正監督は選手の組織力と攻撃回数を重視し、質に頼らない戦い方を目指している。YS横浜戦の課題も攻撃回数。「前半だけでもう4本はシュートを打てる選手がいた」と注文をつけた。

 ただ、増やしたチャンスを得点につなげられるかは選手の力量に懸かっている。指揮官も厳しさ増すJ2を「触れていたボールが触れなかったり、通っていたパスが通らなくなったり...。頑張っていてもやられてしまう」と分析し、選手に成長を求める。

 また戦力底上げには競争の激化も必要だ。MF山下優人とMF宮本英治、DF嵯峨理久の3選手は全試合出場。DF家泉怜依とDF日高大、MF岩渕弘人も30試合以上に出場した。チームの心強い存在だが、それだけ6人を脅かす選手がいなかったともいえる。

 初のJ3を戦い、栄冠を勝ち取った。それでも「J3で満足してはいけない。(来季から)選手には本当の意味でプロの実力が試されるという認識が必要」と指揮官。来季の戦いぶりは、チームのさらなる進化にかかっている。

 (この連載は小磯佑輔が担当しました)