いわきFCキャンプイン J2へ総仕上げ

 
鹿屋体大との練習試合に臨むいわきFCの選手ら=29日、鹿児島市・かごしま健康の森公園

 サッカーJ2のいわきFCは29日、鹿児島市でキャンプインした。今季のチームスローガン「容赦なく、挑み続けろ」の下、2月3日までの6日間、連係強化などに向けたトレーニングや対外試合を行う。

 初の鹿児島キャンプには全選手30人が参加。初日は、キャンプ地のかごしま健康の森公園で九州大学サッカーリーグ1部の強豪・鹿屋体大(鹿児島)との練習試合に臨み、新加入選手中心のチームで戦った。2月1日にはJ2ジュビロ磐田(静岡)と練習試合を行う。

 いわきは昨年12月26日に新チームが始動。キャンプで戦術の浸透を図り、2月18日にホームで迎える藤枝MYFC(静岡)との開幕戦に備える。

 「J2仕様」戦術確認

 「まずは徹底して走るキャンプにする」。鹿児島市で29日にキャンプインしたサッカーJ2のいわきFC。全選手30人が参加し、J2での戦いに向けた戦力の底上げに挑んでいる。6日間にわたり、トレーニングや練習試合を行う。「90分間止まらない、倒れない」サッカーの戦術浸透や連係構築に力を注ぎ、開幕に向けて準備を整える。

 初日は九州大学サッカーリーグ1部の強豪・鹿屋体大(鹿児島県)と練習試合が組まれ、選手たちが精力的にピッチを駆け巡った。「『いわきらしさ』を意識してもらうため、どんどん前線から走り、ボールを奪いに行った。後は戦術の落とし込みだ」。就任2年目の村主(すぐり)博正監督(46)はこう強調し、「戦術を徹底的に積み上げ、連係を高めることで、もっと面白いサッカーになる」と手応えを口にした。

 45分間の練習試合を2試合実施した。1試合目は1―2で敗れ、2試合目は0―0の引き分けだった。いわきは2試合ともメンバーを大きく入れ替え、13人いる新加入選手を中心に戦った。1試合目は、強豪の報徳学園高(兵庫県)から加入したルーキーFW坂元一渚璃(いおり)が、ドリブルで持ち込んで相手GKをかわして冷静にゴールを決めた。

 坂元は「パスが良かったので相手GKとの1対1でも落ち着いて決められた。課題は守備や連続した動き。連係を高めて共通イメージを持ちたい。開幕スタメンを取れるように頑張る」と意気込んだ。

 主将のMF山下優人は「プレスや守備で、チームとして合わせないといけない部分があった」と課題を挙げ、チームをまとめ上げる必要性を痛感した様子だった。

 「尚志時代の恩返し」新加入2選手抱負

 「サッカーで県民を元気づける」。新加入選手13人のうち、尚志高出身のMF加瀬直輝とDF河村匠は意気込んだ。2人とも千葉県出身で、2019年の全国高校選手権で全国3位となった時の同級生だ。大学を経て第二の古里である本県に戻り、念願のプロ選手となる2人。「今度は福島の皆さんに恩返しをする番だ」と熱い思いを口にした。

 加瀬は小学校の卒業文集に「尚志高に入りプロサッカー選手になる」と書いた夢を実現させた。東日本大震災をきっかけに同校を選んだ。「尚志高のサッカーで福島を元気づける信念に感銘を受けた。いわきFCも同じ。高校時代の恩返しをしたい」と語る。

 流通経大時代はスピードが武器だった加瀬。この日の練習試合では華麗なドリブル突破を見せた。「いわきのサッカーは攻撃と守備を全力でやらないといけない。もっと守備を磨いて開幕戦スタメンを取る。泥くさく頑張っていきたい」と前を向いた。

 「高校時代のチームメートの加瀬がいて心強い」と笑顔を見せる河村。加入前には、尚志高で練習に打ち込んだ3年間を思い出して気合が満ち「いわきFCでプレーすることがとても楽しみだった」と振り返る。大体大で技術を磨いた河村は攻撃参加が持ち味。練習試合でもサイド攻撃を繰り出したが「まだ自分の良さを出し切れていない。ほかの選手との違いにこだわり、開幕戦出場を目指す」と力強く誓った。