いわきFCドロー、福島U白星 サッカーJ3初戦、福島県勢熱闘

 
【鹿児島―いわき】前半4分、DF嵯峨(左から2人目)が先制のシュートを決め喜び合ういわきFCイレブン=13日、白波スタジアム

 サッカーJ3に参入したいわきFCは13日、敵地の白波スタジアム(鹿児島市)で開幕戦に臨み、1―1で鹿児島ユナイテッドFCと引き分け、勝ち点1をつかんだ。同じく開幕戦の福島ユナイテッドFCはありがとうサービス.夢スタジアム(愛媛県今治市)でFC今治を1―0で下した。

 いわきは開始4分、DF嵯峨理久(りく)が左足で先制点を決めたが、前半42分にセットプレーから同点とされた。後半は一進一退の攻防となり、いわきは好機をつくったものの、決勝点を奪えなかった。いわきは次戦の20日、ホームのJヴィレッジスタジアムにSC相模原を迎え、"J3初勝利"を目指す。

 福島は前半30分、MF樋口寛規がPKを決めて先制した。後半は守備陣が1点を守り抜き、敵地で勝ち点3を挙げた。福島は19日、敵地の静岡県でアスルクラロ沼津と対戦する。

 躍動!いわきFC、福島ユナイテッドFC

 13日のサッカーJ3開幕戦では、県勢2クラブが躍動した。いわきFCはJリーグのデビュー戦を引き分け、今後の戦いに確かな手応えを感じていた。福島ユナイテッドFCはシーズン9年目の船出を手堅く勝利で飾った。アウェーの会場に駆け付けた両チームのサポーターは、今季の熱闘と躍進への期待感を込めて選手を後押しした。

 いわきFC、ここがJリーグ 4800人の観衆

 「こんな大人数の中で戦ったことがない。Jリーグに来たんだな、という実感が湧いた」。試合会場の白波スタジアム(鹿児島市)に詰め掛けた4832人の観客を前に、いわきの主将MF山下優人は気持ちを高ぶらせていた。

 当初は普段より動きが硬い様子だったが、ゲームが進むにつれてスピードやパワーに適応した。山下が「どんどん前に攻めることはできた」と語るように、チームの強みである走力と体の強さを生かした戦いを貫いた。現地で熱戦を見届けた、いわき市の会社員上遠野希心(のぞみ)さん(28)は「選手の元気な姿を見られてほっとした」と語る。

 だが、課題も浮き彫りになった。今季から指揮を執る村主(すぐり)博正監督は、選手のたくましさを感じる一方で「奪ったボールを逆に奪い返され、敵陣へボールを運べなかった」と次節までに修正を図る考えを示した。

 福島U、新生チーム門出「希望の星に」

 元日本代表でジュビロ磐田へッドコーチだった服部年宏氏を監督に迎え、選手の顔触れも10人ほど入れ替わった「新生ユナイテッド」は、堅守で白星をもぎ取った。チームの力となったのは、復興の道を歩む本県への強い思いだった。

 試合前の11日、福島市での練習前に黙とうをささげた。ミーティングでは、鈴木勇人代表が「(3月11日を)福島について考えるきっかけの日にしてほしい」と震災とともに歩んだクラブの歴史を伝え、選手全員に福島を背負って戦うことを呼び掛けた。

 試合を観戦した福島市の会社役員佐藤卓宏さん(39)は「新チームがどんなサッカーをするのか楽しみにしていた。サッカーが福島の希望になってくれたら」と期待を高めた。諸岡裕人主将は「試合前に『福島の人に勇気を』と話していた。最低限のところは出せた」と振り返った。