いわき後半3発 八戸に逆転勝ち、戻った「らしさ」

(29日・Jヴィレッジスタジアムほか=6試合) いわきFCはホームでヴァンラーレ八戸と対戦し3―1で逆転勝利した。通算成績は4勝2分1敗。順位は暫定2位に浮上。いわきは次戦の5月4日、福島のホームのとうほう・みんなのスタジアム(福島市)で福島ユナイテッドFCと「福島ダービー」を戦う。午後4時開始予定。
【評】いわきは後半の攻勢が機能し、八戸に逆転勝利した。前半開始早々に相手が得意とするロングスローで失点したが、その後はボールを支配して度々好機を演出した。後半は開始から攻守に圧倒。後半3分に同点とすると、同16分までに2点を加え、試合を一気にひっくり返した。後半は打たれたシュートも1本のみで、前掛かりになった相手に堅守を見せた。(小磯佑輔)
初先発永井が躍動
前節喫したJ初黒星からの連敗阻止を誓って臨んだ試合。チームは立て直しに成功し、新たな収穫も得ることになった。「戦い方の幅を広げることができた」。試合後、いわきの村主(すぐり)博正監督は表情を緩ませた。逆転の決勝ゴールを決めたFW鈴木翔大も「逆転で勝てたことで、次の試合にも良い流れで臨めそうだ」と笑顔を見せた。
前節の敗戦の要因だった球際での競り合いで、この日はことごとく勝利した。相手の反撃の芽を素速く摘み取り、再び縦に速い攻撃へ―。そんな「らしさ」が顕著に表れた後半立ち上がりに3得点し、一気に試合を決めた。
新しい風も吹いた。普段の左MFではなくFWで出場した鈴木が得点で起用に応えると、その左MFは初スタメンの永井颯太が担った。「彼にしかできないボールを運ぶプレー」(村主監督)で、ボールの支配に今まで以上の安定感をもたらした。村主監督は「選手が主体的に試合をコントロールしていた」と成長を喜んだ。
チームは中4日で、福島との「福島ダービー」2連戦を迎える。5月4日にJ3の試合を行い、8日に天皇杯県代表決定戦を戦う過密日程だが、鈴木は「連戦でもプレー強度を落とさないことが大切。どのチームよりも取り組んできたトレーニングの成果を生かす時だ」と意気込んだ。(小磯佑輔)
DF嵯峨、反撃の口火
いわきの両翼が反撃ののろしを上げた。同点ゴールを決めた右サイドバック嵯峨理久は「後半の早い段階でのゴールだった。チームに勢いが出たと思う」と喜んだ。
後半3分、左サイドバック日高大のクロスに左足で合わせた。「大君を信じて走り込んだ。良いボールだったので決めるだけだった」と嵯峨。パスのような冷静なシュートでゴールの左隅に流し込んだ。
嵯峨はこれで今季2得点。アシストと合わせれば、チーム総得点(12得点)の約半数の5得点に絡んでいる。「自分の(攻撃参加という)特徴は知られていると思うが、相手の予想を上回ってゴールにつなげたい」。嵯峨はまだまだ貪欲だ。