いわきFC「福島ダービー」勝利、有田が決勝点 福島U1点遠く

 
【福島―いわき】後半34分、頭で先制ゴールを決めるいわきのFW有田〈11〉=とうほう・みんなのスタジアム(石井裕貴撮影) 

(4日・とうほう・みんなのスタジアムほか=5試合) 福島ユナイテッドFCのホームとうほう・みんなのスタジアム(福島市)で行われた「福島ダービー」は1―0でいわきFCが競り勝った。いわきの通算成績は5勝2分け1敗で暫定だが初の首位に立った。福島の通算成績は4勝3分け1敗で暫定3位。両チームの次戦は15日で、いわきはホームのJヴィレッジスタジアム(広野町)で藤枝MYFCと、福島はアウェーのAxisバードスタジアム(鳥取市)でガイナーレ鳥取とそれぞれ対戦する。ともに午後1時開始予定。

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 いわき、縦へ攻勢

 評】県内Jクラブのリーグ初顔合わせとなった福島ダービーは、後半に先制点を奪ったいわきがリードを守り切った。縦へのロングボールで攻勢をかけるいわきに対し、球際の競り合いで迎え撃つ福島の構図が続いた。試合が動いたのは両チーム無得点で迎えた後半34分。コーナーキックのキッカーを務めたいわきのMF山下のゴール前へのクロスに、途中出場のFW有田が頭で合わせてゴールネットを揺らした。(小野原裕一)

 いわき・有田流れを変える

 これぞ試合の流れを変える「ジョーカー」(切り札)の仕事だ。いわきのFW有田稜は後半13分に途中出場すると、決勝点を奪ってみせた。「苦しい時間帯に守備陣が身体を張って守ってくれていた。チームに何とか勢いをつけたかった」とはにかんだ。

 後半34分のコーナーキック、MF山下優人のクロスに頭で合わせた。マークに付いた福島の選手を振り切り、頭を振り下ろすと、ボールはワンバウンドしてゴール左隅に吸い込まれた。

 この場面、有田は当初、相手GKの前に立って視界を遮る役目を担う予定だったが、直前にその役割を捨てて競り合いに参加した。「GKとの接触に厳しいレフェリー(審判員)だったから」。とっさの動きが得点を呼び込んでいた。

 今季出場の6試合は、全て後半に投入された有田。チームトップの3得点目となったが、これまでにリーグで放ったシュートはわずかに4本。決定率は驚異の75%で、今季初ゴールに至ってはJ初出場初プレーという勝負強さだ。

 「ダービーはワクワクしたが、リーグ戦の1試合という気持ちで臨んだ」という。これからも有田の決定力から目が離せない。(小磯佑輔)

 福島U内容互角、悔しさ糧に

 いわきにほとんど決定機をつくらせず、何度も相手ゴールを脅かした福島にも十分勝機はあった。しかし、後半34分のコーナーキックから決勝点を奪われ0―1で敗戦。ホームに過去最多の4501人の観客が詰めかけた福島ダービーは、福島にとって悔しさが残る結末となった。

 「自分たちがやろうとしたことをいくつか出せた」と服部年宏監督が語るように、チームの意図は明確だった。ボールを動かしながらスペースをつくり、サイドチェンジで揺さぶりをかけながら前進する姿勢をピッチで体現。主将のMF諸岡裕人は「一つボールを拾ってからの展開は良かった」と手応えを口にする。

 試合の流れは一進一退。時計の針の進みとともに、最初の1点の重みが増していく展開となった。ただ、先制点を挙げたのはいわき。DF堂鼻起暉(かずき)は「どちらが点を取ってもおかしくない試合だった」と評し、セットプレーのワンプレーで決まった一戦に唇をかむ。

 福島は好機で決められず、いわきは終盤の好機を決めた。内容は互角でも結果は負け。「(プレーの質の向上に向けて)もっとこだわっていかなければいけない」と気持ちを奮い立たせる諸岡。今季初めて喫した敗戦の悔しさは、次への糧としていくつもりだ。(小野原裕一)