両雄の意地激突 J3福島ダービー「ぎりぎりの戦いだった」

 
(上)【福島―いわき】福島ダービーを制し喜びを分かち合ういわきFCの選手=とうほう・みんなのスタジアム(下)ホームの重要な一戦で敗れ、悔しがる福島Uイレブン

 J3のいわきFCと福島ユナイテッドFCがプロの舞台で初めて戦った4日の福島ダービー。本県を代表する2クラブのプライドが真正面からぶつかり合った歴史的一戦は、いわきに軍配が上がった。両チームの選手は試合後、口々にスタジアムの盛り上がりに感謝し、激闘をたたえ合った。8日の天皇杯県代表決定戦決勝で再び顔を合わせるイレブン同士は、それぞれの思いを胸に次戦へ闘志をみなぎらせた。

 いわき、耐えて後半歓喜

 「負けられない相手だ」。念願のJ3昇格を果たしたいわきの選手はリーグ開幕前から、口々に福島への対抗意識を語ってきた。2位福島を勝ち点1差で3位いわきが追いかける構図もイレブンの士気を高め、いわきの主将山下優人は「順位争いでも負けられなかった」と大一番を振り返った。

 公式戦の直接対決で通算5戦4勝と優位に立ついわきが、好調福島の猛攻に押されて守勢に回る時間帯もあり、耐えて後半の好機をものにした。「福島に苦手意識はなかった」というMF宮本英治も試合後には「ぎりぎりの戦いだった」と福島の粘りをたたえた。

 首位を争うライバルとの一戦を終え、山下は「互いにリスペクト(敬意)を払って(ファウルの少ない)クリーンな試合ができた」と喜びを表し「自分たちの試合を見た人が何かを感じてくれればいい」と次戦への思いを込めた。

 イレブンの背中を押すサポーターの力も改めて思い知らされた。「こんなに大人数の前で戦ったことがない」。山下は盛り上がりに思わずうなり、宮本も「入場時、たくさんのサポーターに拍手で出迎えられた。あれだけの雰囲気でプレーできることに感動し、闘争心も高まった」と感謝した。

 村主(すぐり)博正監督は「良いプレーには敵味方関係なく拍手が起こっていて、福島が一つになったように感じた。素晴らしい試合をできたことに感謝している」と熱い思いを口にした。

 福島U「次は勝つ」前向く

 「福島サポーターを笑顔にできなかったので、本当に悔しい気持ちでいっぱいだ」。福島の主将でMF諸岡裕人は試合後、責任をかみしめながら、苦渋の表情を浮かべた。

 注目の一戦は後半にコーナーキックから失点を許し惜しくも敗れた。それでも拍手を送り続けたスタンドを前に、諸岡は「多くのサポーターに来てもらい、選手として幸せな空間だった。その空間をつくり上げてくれたみんなに感謝している」とあふれる思いを語った。服部年宏監督も「多くのサポーターがいる中で試合ができて幸せだ。だからこそ、この悔しさを選手と共有したい」と雪辱を誓った。

 8日の天皇杯県代表決定戦決勝で再びいわきと対戦する。天皇杯での戦績は中止を挟んで4連敗中と苦戦しているが、諸岡は「次は勝利するチャンスはある。気持ちを切り替えて調整していきたい」と前を向いた。