いわき、一発に泣く 天皇杯福島県代表決定戦決勝、福島Uに0ー1

 
【いわき―福島】積極的な守備でチームを率いたいわきのDF星〈4〉=とうほう・みんなのスタジアム

 福島市のとうほう・みんなのスタジアムで8日に行われたサッカーの天皇杯県代表決定戦の決勝では、福島ユナイテッドFCが前半に1点を奪って試合を優位に進め、いわきFCに1―0で勝利した。福島といわきが決勝で対戦するのは中止となった2020年大会を挟んで6大会連続6度目となり、福島は6年ぶりにいわきを下し県王者となった。

天皇杯福島県予選決勝スコア

 【評】先制点を奪い、攻守でハードワークを貫いた福島が接戦を制した。立ち上がりは追い風を背にしたいわきがロングボールやセットプレーを起点に得点を狙い、主導権を握った。しかし先にスコアを動かしたのは福島。前半29分、FW長野が右足でゴールネットを揺らした。いわきは前後半で12本のシュートを放ち、5本だった福島の倍以上だったが、GK山本を中心とする福島の守備陣が体を張って守り切った。(小野原裕一)

 攻勢から一転、隙突かれた

 一瞬の隙を突かれた。「相手がカウンターを狙ってきていたのは明確だったのに...」。いわきのDF星キョーワァンは試合後、一人仲間から離れて頭を抱え込み、警戒していたカウンターで決勝点を奪われたことを悔しがった。

 試合全体を通じていわきが主導権を握っている時間帯の方が長く、好機もいわきの方が多かった。前半は横殴りの強風の風上に立ったことで攻撃の中心であるロングボールが生きた。後半は運動量で優位に立ち、福島を押し込む時間が続いた。

 いつも通りの積極的なプレスも機能する中で、福島の一発に泣いた。福島に許した好機らしい好機はこの1回のみだっただけに、悔しさは大きい。星は「リーグ戦でも、相手に少ない好機をものにされ、勝ち星を落としてしまった試合がいくつかあった。同じような失点を2度としないように修正しないといけない」と課題を口にした。

 チームは今後、リーグ戦に集中することになる。次の「福島ダービー」は8月20日、ホームのJヴィレッジスタジアム(広野町)で迎える。星は「次のダービーで勝ち、より高い順位にいきたい」と決意を口にした。(小磯佑輔)

 岩渕「前半決めてれば」

 立ち上がりから主導権を握ったが、好機を生かせず、無得点に終わったいわき。「前半に点を決められなかったことが痛かった」。今季初のフル出場で攻撃を牽引したFW岩渕弘人は悔やんだ。

 この日は通常の右MFとしての役割だけではなく、2トップの一角としてもプレーした。4日の福島ダービーの試合とはうって変わって、相手DFの背後への走り込みを頻繁に行い攻撃の起点をつくった。「まだまだ走れた」。終盤まで足を止めずに果敢に攻め続けた。

 本戦出場は叶わなかったが、「チャンスはつくれていたし、失点の場面以外はうまく守れていた。下を向く必要はない」と気持ちを切り替えた。