いわきFC敗れる 福島Uが6年ぶり天皇杯、福島県代表決定戦

 
【いわき―福島】激しく競り合う両チーム。福島が天皇杯出場を決めた=8日、福島市・とうほう・みんなのスタジアム

 サッカーの天皇杯JFA第102回全日本選手権県代表決定戦・第27回県選手権大会決勝は8日、福島市のとうほう・みんなのスタジアムで行われ、福島ユナイテッドFC(J3)が1―0でいわきFC(同)を下し、天皇杯出場を決めた。福島は6年ぶり10度目の優勝。

 決勝は、新型コロナウイルスの影響で県代表決定戦が中止となった2020年を挟み6大会連続で同じ顔合わせとなった。16年は福島が勝ち、その後の4大会はいわきが勝利していた。

 福島は前半29分、DF北村椋太(りょうた)のクロスにFW長野星輝(しょうき)が右足で合わせて決勝のゴールを奪った。いわきはFW有馬幸太郎やFW岩渕弘人を中心に福島を上回る12本のシュートを放ったが、堅い守備にはね返された。
 天皇杯は21日に開幕する。福島は同日、とうほう・みんなのスタジアムで行われる1回戦でノースアジア大(秋田県代表)と戦う。午後1時開始予定。勝てば浦和駒場スタジアム(埼玉県)での2回戦で浦和レッズ(J1)と対戦する。

 福島Uついに雪辱

 福島市のとうほう・みんなのスタジアムで8日に行われた天皇杯県代表決定戦決勝。いわきFCと福島ユナイテッドFCが互いのプライドを懸けて戦った一戦は、6年ぶりに福島が勝利、雪辱を果たした。リーグ戦から中3日での異例の連戦となった福島ダービー。ともに喜びと悔しさを味わった両チームの選手たちは、次の戦いに気持ちを切り替えた。

 「勝ちたい」気迫のプレー

 優勝を告げる試合終了の笛が鳴り響くと福島のイレブンは雄たけびを上げながら、ピッチに倒れ込んだ。いわきへの雪辱を果たし、主将の諸岡裕人は「勝ててほっとしている。素直にうれしい」と安堵(あんど)の表情を浮かべた。

 両チームによる天皇杯県代表決定戦はここまで、福島の1勝に対し、2020年の大会中止を挟み、いわきが4連勝中。19年入団の諸岡は「一度も勝てず、いつも悔しい思いをさせられてきた」と振り返る。

 4日のリーグ戦でもいわきに敗戦し、わずか中3日での再戦。チームはこの間、特別なことはせず「自分たちのサッカーをしよう」とプレーを見つめ直した。また、2日までにトップチーム8人が新型コロナウイルスに感染し、4月29日のリーグ戦から限られたメンバーでの試合が続いた。この日も登録メンバーが16人と厳しい状況となったが、それがかえって一人一人に自覚を促した。

 随所で体を張り、気迫のこもったプレーで、1点を守り切った。服部年宏監督は「自分たちでやるしかないと責任感を持ってやってくれた」と評価した。諸岡も「絶対にやり返したいという気持ちだった」とチームの思いを代弁した。全員で決めた6年ぶりの本戦出場。諸岡は「1個ずつ勝って、一つでも多く上のカテゴリーのチームと対戦したい」と決意を口にした。

 いわき「もっと強くなる」

 大会5連覇を逃したいわきの選手は試合後、普段よりも深々とサポーターに頭を下げた。その深さと長さが、敗戦の悔しさを物語っていた。主将の山下優人は「チャンスがないわけではなかった。率直に悔しい気持ちが大きい」と言葉少なに試合を振り返った。

 村主(すぐり)博正監督は「福島の勝利への思いにギリギリのところで防がれた」と相手をたたえた。自チームについて「頭を下げている時間はない。トレーニングの質を上げて強くなるしかない」と気持ちを切り替えた。

 福島とは8月にリーグ戦で再び相対する。「次のダービーも落とせない一戦になる」と山下。FW岩渕弘人は「リーグ戦に集中できることを前向きに捉えたい。(リーグ戦では)首位にいるが、自分たちが強いと思っている選手は誰もいない。挑戦者の気持ちで戦い、必ず優勝する」と意気込んだ。