走り続けるいわきFC 「組織力」で快進撃、J2の舞台に照準

 
昇格を決め、サポーターに喜びを報告するいわきFCイレブン=Jヴィレッジスタジアム

 6日のホームゲームで本県初のJ3優勝とJ2昇格を勝ち取ったいわきFC。会場のJヴィレッジスタジアム(広野町)には4400人超の観客が詰めかけ、歓喜が広がった。J3参入1年目の快進撃はクラブの組織力が実った結果だ。選手はサポーターと喜びを共にしながらJ2の舞台に照準を合わせた。

 「いわきのサッカーを信じ、地道にやってきたことが結果につながった」。主将としてけん引するMF山下優人は圧倒的な攻撃力と堅守でJ3優勝を成し遂げた今季を振り返る。2019年に加入し今季で4年目。東北社会人1部、JFL、J3と挑戦を続け、今ではチームの大黒柱に成長した。

 「J2昇格が決まって最初に思い浮かんだのは加入1年目の頃。土のグラウンドで試合をして、バスの中で着替えた。環境は変わったが当時から90分間走り続け、倒れないサッカーを貫いてきた」。サポーターが詰めかけたスタンドを眺め、喜びと感謝の気持ちがあふれた山下。「J2でも組織力で戦う。いわきや浜通り、福島の復興のため貢献していきたい」と意気込んだ。

 今季、いわきの選手の平均年齢は23.7歳(開幕時)で、リーグ屈指の若さ。大卒選手や出場機会に恵まれない2~3年目の「若くて貪欲な」選手を獲得して強化、育成を図った。これによってチーム全体が成長し、勝利につなげる戦略でリーグ屈指の「組織力」を築いた。

 「みんなで攻めて、みんなで守る」という意識も徹底され、昨季JFL優勝を遂げた中心メンバーの山下らに加え新戦力が存在感を高めた。「不安と楽しみの中でスタートしたが、J3の頂点を目指し一試合一試合積み上げることができた」と村主(すぐり)博正監督。「試合数も増えるので、もっとタフな肉体にしないと勝てない。パワーアップしていきたい」と厳しさを増すJ2での戦いを見据えた。