いわきFC、共に背負い歩む サポーター後押し、J3優勝に歓喜

 
サッカーJ3で初優勝を果たし、優勝皿(左手前)を掲げてサポーターと喜びを分かち合ういわきFCイレブン

 必ず優勝と昇格を決めてくれると信じていた―。いわきFCのホーム、Jヴィレッジスタジアムには多くのサポーターが駆け付け、選手たちを後押しした。待ちに待った歓喜の瞬間を見届け、喜びを分かち合った。

 優勝と昇格を懸けた大一番となったこの日。約4400人が会場を訪れた。「声援が選手の力になったはず。リーグ優勝はうれしい」。声出し応援エリアで応援していたいわき市の稲田正晴さん(67)は笑顔を見せた。

 私設応援団員の会田陸人さん(19)=同市=も「まさか1シーズンで昇格してくれるとは」と喜びをかみしめた。試合後、スタンドにはこの日のために作ったという「共にこの街を背負い、永遠(とわ)に歩き続けよう」と書かれた横断幕が掲げられた。制作に携わった会田さんは「被災地に元気と勇気を与えるチームとして活躍してほしいと願いを込めた。これからも地域や人とのつながりを大事に応援したい」と力を込めた。

 同市の会社経営、田子英彦さん(57)は、クラブが掲げる「いわき市を東北一の都市にする」とのビジョンに感銘を受けて応援している。J3優勝を見届け「いわきにはサッカーにとどまらず、人や街を巻き込む中心的な存在になってもらいたい」と今後に期待を込めた。

 スタジアム近くで豚丼を販売していた大熊町出身でいわき市在住の紺野ひろみさん(49)は「いわきFCには、これからもいわきや双葉郡、福島を盛り上げてほしい」と期待を寄せた。

 祝福の声続々「夢見た瞬間が訪れた」

 いわきFCのJ3優勝、J2昇格決定に関係者から喜びの声が上がった。

 菅野貴夫県サッカー協会長は「本県初のJ2クラブの誕生はとても喜ばしい。いわきの活躍で県内のサッカー熱がさらに盛り上がり、子どもたちの育成にも好影響が及ぶ」と期待した。

 地元のいわき商工会議所の小野栄重会頭は「いわき市民だけでなく県内や全国のファンが夢に見ていた瞬間が訪れたことに感激している」と喜びをかみしめた。J2に活躍の場を移すことに「交流人口が劇的に変化する。(アウェーサポーターを)おもてなしの心で迎え満足して帰っていただけるよう応援する」と述べた。

 内田広之いわき市長は「たくさんの夢と感動をありがとう。来シーズンもJ2の舞台で躍動することを期待する」とコメント。内堀雅雄知事も「県民に勇気と感動を届けてくれた。いわきFCの皆さんが全力で戦うことで、本県復興の強力な後押しになるものと確信している」とたたえた。