いわきFC、J2初戦は惜敗 藤枝に2-3、後半の追撃届かず

 
【いわき―藤枝】ドリブルで敵陣に攻め入るいわきの有田稜〈11〉。歴史的一戦に多くのサポーターが沸いた=いわきグリーンフィールド

 サッカーJ2リーグは18日、開幕した。県勢として初めてJ2の舞台に挑むいわきFCはホームスタジアムのいわきグリーンフィールド(いわき市)で、同じくJ3から昇格した藤枝MYFC(静岡県)と対戦し、2―3で敗れた。「J2初勝利」は持ち越しとなったが、詰めかけたサポーターの声援がチームを後押しした。

 いわきは前半、藤枝の攻撃に対応できず10分間で3失点する苦しい展開となった。後半の4分にDF嵯峨理久が1点を返すと流れが一転。15分にパス回しからゴールに迫り、FW谷村海那が左足で追加点を奪った。試合はいわきペースとなり、何度も好機を迎えたが、あと1点が遠かった。

 主将のMF山下優人は敗戦を悔やみつつも「後半はいわきらしいプレーが出た。大事なのは連敗しないこと。次戦は勝利を届けたい」と前を向いた。村主(すぐり)博正監督は「前半、藤枝に押し込まれ選手の集中力が切れた部分もあった」と勝敗のポイントを挙げた上で「課題を修正して、いわきのサッカーを突き詰めていきたい」と話した。

 いわきグリーンフィールドは真新しい天然芝となり、観客席も約5000席と倍増し、4318人が来場した。今季から全席で声出し応援が解禁されたため、サポーターがピッチを駆ける選手に熱い応援を送った。

 次戦は26日水戸戦

 今季のJ2は22チームがホームアンドアウェー方式で42試合を戦う。いわきは次節の26日、アウェーのケーズデンキスタジアム水戸(水戸市)で水戸ホーリーホックと対戦する。午後3時開始予定。

 イレブン躍動、歴史刻む

 青々とした芝の広がるピッチで赤と紺の選手が躍動した。止まらずに走り続ける「魂の息吹くフットボール」が始動してから8年目で到達したJ2の舞台。いわきはこの日、また一つ歴史を刻んだ。結果こそほろ苦いものだったが、懸命にボールを追う姿は、いわきが突き詰めてきたサッカーそのものだった。

 「緊張なのか、少し浮足立っていたのかもしれない」。クラブを運営するいわきスポーツクラブの大倉智社長(53)は選手の気持ちをおもんぱかった。前半は強みとする積極的な守備が機能せず立て続けに3点を失った。後半に選手交代で息を吹き返したものの、昨季勝ち越した相手に敗れ、大倉社長は「J2はそんなに甘くないということ」と厳しかった。ただ、今季42試合のうちの1試合を終えたばかり。「修正できる。どうやって立ち直るかクラブの力が問われる」と悲壮感はなかった。

 生まれ変わったいわきグリーンフィールドには昨季ホーム戦の平均入場者数の2倍に迫る4318人が来場した。周辺の飲食店では県内外のサッカーファンをもてなすさまざまなサービスが提供された。カテゴリーが上がれば観客数も増える。その言葉通りの多くの観客を迎え、地域の一層の盛り上がりにも期待が膨らむ一戦となった。

 チームが目指すのは住民に応援されるクラブづくりだ。大倉社長は先を見据える。「(開幕戦は)最高の舞台だった。とにかく毎試合、面白い戦いをしていきたい」(小磯佑輔)