いわきFC、諦めず前へ...劣勢から猛反撃 J2開幕戦

 
(写真上)開幕戦を終え、詰めかけたサポーターらにあいさつするいわきイレブン。次戦での初勝利を誓った=いわきグリーンフィールド(写真下)主将としてチームをけん引したいわきの山下

 ついにサッカーJ2の舞台に立ったいわきFC。開幕戦で同じ昇格組の藤枝MYFCに敗れたものの、イレブンは、改修されたホームスタジアム「いわきグリーンフィールド」に詰めかけた約4000人のサポーターの声援を力に、躍動した。本県復興を掲げ、昨季のJ3では快進撃で県民に勇気と元気を与えたいわき。イレブンは「J2でも躍進し希望を届けたい」と誓いを新たにする。

 山下主将「大声援が力になった」

 満を持して迎えた開幕戦。前半、まさかの3失点を喫した。「われわれは復興に貢献するチームだ。最後まで諦めず、前に進む姿を見せなくてはいけない」。ハーフタイムのロッカールームで、村主(すぐり)博正監督がそう語りかけた。これに奮い立ったイレブン。後半は怒濤(どとう)の反撃をみせた。勝利には届かなかったが、主将のMF山下優人は「後半もサポーターの大声援が後押しとなって力になった。見ている人が前向きになるプレーを1年通してやっていくことを改めて感じた」と振り返った。

 「サポーターがつくり出す熱狂空間でプレーできてわくわくした。福島への感謝の気持ちをプレーで返していきたい」。そう語るのは、本県復興に特別な思いを抱くアカデミー福島出身で加入3年目のMF宮本英治。東日本大震災後、静岡県に一時移転したアカデミーで学び、本県に思いを寄せていた。「いわきFCは復興の象徴。全国のサポーターが本県に足を運ぶことで地域貢献につながる。期待に応えられるプレーをしていきたい」と前を向く。

 いわきは2016年に本格始動し、県2部リーグから毎年のようにカテゴリーを上げ、J3参入初年度の昨季は優勝と昇格を果たした。元監督の田村雄三ゼネラルマネジャーは地元の支援に感謝しつつ「大勢のサポーターの声援を聞き、チームが受け入れられていると感じている」と感慨深げに話し、「開幕戦で新しい景色を見た。これからが始まりだ」と奮い立った。

 チェアマン「いわきは勇気、希望になる」

 Jリーグの野々村芳和チェアマン(50)は会場で試合を見届け、試合後の取材に「いわきは各地域のクラブにとって勇気にも希望にもなると思う」などと語った。昇格組同士の一戦に「『もっと上を目指す』という意気込みと『このカテゴリーでできるだろうか』という若干の不安もあったと思う」とし「互いに良いところが出て引き分けでもおかしくなかった。ホームサポーターの熱量が試合をつくってくれたのではないか」と語った。いわきが本格始動から7年でJ2まで昇格したことに「Jクラブは地域を喜ばせる活動をやらなければいけない。その意味でスピード感はすごい」と語った。