いわきFC、終始主導権譲らず プロ5年目の江川がJ初ゴール

 
【仙台―いわき】前半20分、頭で先制ゴールを決めるいわきのDF江川(35)=ユアテックスタジアム仙台

 サッカーJ2のいわきFCは12日、アウェーのユアテックスタジアム仙台(仙台市)でベガルタ仙台と対戦し、J2初勝利を挙げた。通算成績は1勝1分け2敗となった。

いわきFCの試合結果

 【評】いわきは強みの組織力と運動量で仙台に自由にプレーさせず、前半のリードを最後まで守った。前半から強気のプレスが機能し、鋭い寄せでボールを奪った。前半20分、コーナーキックの流れからDF江川が先制ゴールを決めた。後半も主導権はいわき。選手交代とシステム変更で打開を図る仙台に動じることなく、果敢な守備で相手の攻撃をはじき返した。(小磯佑輔)

 江川涙、勝利に安堵

 プロ5年目、勝利に飢えた男が、自身のJ初ゴールでチームをJ2初勝利に導いた。いわきのDF江川慶城(げんき)は試合終了後、ピッチにあおむけに倒れ込むと両手で握り拳をつくり勝利をかみ締めた。「やってきたことは間違いじゃなかった」。勝つことができた安堵(あんど)感で感極まり、涙が頬をつたった。

 前半20分、MF山下優人のコーナーキックの場面。相手DFがはじいたこぼれ球を嵯峨理久がすかさずゴール前に放り込み、江川が頭で合わせると、ボールは弧を描いてサイドネットに収まった。「オフサイドにならず、相手より良い位置が取れたことが全てだった。欲張らず、遠くの(ゴール)ポストを狙った」

 京都サンガFC時代は1試合も出られず戦力外となり、いわきに加入後2年間もスタメンを張ることができなかった。今季は先発出場が増えたが、チームは一度も勝てていない。「(未勝利について)深く考えないようにしたが、思うところはあった」

 見事今季初勝利を成し遂げたが、「これもまだ通過点」と江川。次の目標はホームでのJ2初勝利だ。「突き詰めなければならないことはたくさんある。今日の勢いを持って帰り、次もいつも通り全力で戦う」。勝ちにこだわる男の活躍は、これからが本番だ。(小磯佑輔)