いわきFC、J2初勝利 東北ダービー!仙台破る、勝ち点3獲得

 
いわきFCサポーターとJ2初勝利の喜びを分かち合うイレブン=12日、ユアテックスタジアム仙台

 サッカーJ2のいわきFCは12日、アウェーのユアテックスタジアム仙台(仙台市)でベガルタ仙台を1―0で下し、第4節でJ2初勝利を挙げた。勝ち点3を獲得し、順位は22チーム中、15位となった。

 東北のチーム同士が対戦する「東北ダービー」に臨んだいわきは前半、右サイドから果敢に攻めた。20分にMF山下優人のコーナーキックのこぼれ球から同じくMF嵯峨理久がクロスを上げ、DF江川慶城(げんき)が頭で押し込み先制。後半は攻め込まれる場面もあったが、体を張った粘り強い守備で得点を許さなかった。

 試合は東日本大震災復興応援試合として行われ、1万2269人が来場。スタンド一角を赤く染めたサポーターが選手を鼓舞した。

 いわきは、19日にホームのいわきグリーンフィールド(いわき市)で行われる第5節で徳島ヴォルティスと対戦する。午後2時開始予定。

 「被災地に希望」約束の舞台

 攻撃的なサッカーを貫き初勝利をつかみ取った。「積み上げてきたことを出し切れた」。決勝点を挙げたDF江川慶城は胸を張った。

 「自分たちを信じてやろう」。村主(すぐり)博正監督はこうハッパをかけて選手を送り出した。チームは開幕からの3試合で1分け2敗と出遅れたものの、試合内容は決して悪くなかった。指揮官の期待に応え、主将のMF山下優人は「吹っ切れた感じがした」と振り返る。

 同じ被災地のチームとして特別な思いもあった。仙台とは2017年、復興チャリティーマッチで戦った。当時、県社会人リーグ1部のいわきに向け、相手サポーターが掲げた横断幕には「頑張ろういわき 次はJで」と書かれていた。

 いわきは成長を遂げ、約束を果たした。「必死に戦うことで勇気とか希望を持ってもらえたら。今後も気を抜かずに集中して戦っていきたい」。東日本大震災から13年目を踏み出したこの日、チームは最高の結果を残した。(小磯佑輔)