いわきFCサポーターら歓喜「待ってた」 敵地染めた全力応援

 
敵地のスタンドを赤く染めて、声援を送るいわきサポーター=12日、仙台市・ユアテックスタジアム仙台

 試合終了の笛が鳴り響くと選手やサポーターらは歓喜の声を上げた。12日にユアテックスタジアム仙台(仙台市)でベガルタ仙台を破り、J2初勝利をつかんだいわきFC。「復興応援試合」を冠した特別な試合で選手らが躍動し、敵地でサポーターと喜びを分かち合った。

 前へ勢いよく速く。選手たちは、この日も積極的にボールを奪い攻撃につなげるいわきのサッカーを貫いた。主将のMF山下優人は「サポーターも含め、チーム全員で最後まで諦めずに戦ったことが結果につながった。やっと勝つことができてうれしさ半分、ほっとした気持ちもある」と安堵(あんど)の表情を浮かべた。

 開幕から3試合は1分け2敗とJ2チームに苦戦してきただけに、村主(すぐり)博正監督は「試合前に諦めない姿勢をサポーターの皆さんに見せようと話した。集中力を切らさずに最後まで90分間貫き通してくれた」と選手をたたえ、「最後まで戦い続けることができたのは、サポーターの皆さんの後押しがあったからこそ」と感謝した。

 1万2269人が集まったスタジアムの大半を黄色の仙台サポーターが占める中、赤色のいわきサポーターも声援を送り続けた。いわき市の会社員松本憲さん(46)は「この日を待っていた」と興奮気味に話し、「今後も最後まで全力で走り続けて戦ってほしい」と力強く語った。いわき設立からのサポーターだという同市の団体職員中尾崇さん(42)は24年前に大学時代を仙台市で過ごし、当時は仙台のサポーターとしてスタジアムに足を運んでいた。「このスタジアムで2チームの戦いを見られるとは思わなかった」と中尾さん。試合を振り返り「勝利の瞬間泣きそうになった。この勢いに乗って強豪チームに立ち向かってほしい」と期待した。