いわきFC、6戦ぶり勝利 大宮破り最下位脱出

 
【いわき―大宮】後半14分、頭で勝ち越しゴールを決めるDF遠藤〈3〉=いわきグリーンフィールド

 サッカーJ2第16節-。いわきFCは17日、ホームのいわきグリーンフィールド(いわき市)で大宮アルディージャと戦い、2―1で6試合ぶりの勝利を挙げた。いわきの通算成績は4勝2分け10敗で、順位は最下位を脱して22チーム中21位に浮上した。

 いわきは前半16分、コーナーキックから先制点を許したが、その6分後にMF山口大輝のゴールで同点に追いついた。後半14分、敵陣内FKでMF山下優人の直接FKにDF遠藤凌が頭で合わせてゴールネットを揺らし、勝ち越しに成功。その後は体を張った守備でリードを守り切った。

 いわきの次戦は21日。アウェーのヤマハスタジアム(静岡県磐田市)で6位のジュビロ磐田と対戦する。午後4時開始予定。

大宮戦スコア

【評】決定力で相手を上回ったいわきが、逆転勝利を収めた。前半立ち上がりは押し込まれ、CKから先制された。しかしすぐさま同点とすると形勢がいわきに傾き始め、分厚い攻めで相手ゴールを脅かした。後半立ち上がりも攻め込まれたが耐えしのぎ、MF山下のFKにDF遠藤が頭で合わせて勝ち越し。その後は再び攻勢を強めた大宮を、体を張った守備ではね返した。(小磯佑輔)

 遠藤千金弾、鮮やか逆転

 チーム力でつかみ取った逆転勝利だ。今まで控えに回ることの多かった若手が躍動し、そのお膳立てに得点で応えるかのように主力が2得点。決勝ゴールの副主将DF遠藤凌は「全員で戦わないと連戦もあるから戦い抜けない。代わりに入った選手がしっかり結果を残して勝てたことは、チームの勢いになる」と笑顔がはじけた。

 先制を許した6分後の前半22分、敵陣深くで得たスローインを細かくつなぎ、同点弾が生まれた。輝きを放ったのはMF鏑木瑞生による一本のロングパス。守備的MFを務めるのはまだ2試合目だが、冷静なパスさばきなど得意なプレーが出ていた。攻撃の組み立てを先導する遠藤も「ボールを持った攻撃も織り交ぜることで、相手が出てきた裏を速く攻めることもできる。二つの形を併用することで、良い攻撃がつくれる」と手応えを語る。

 後半、鏑木に代わって守備的MFを務めたのはプロ初先発となった芳賀日陽(あさひ)。芳賀の武器は予測力を生かした鋭いボール奪取だ。相手FWを止めた芳賀のプレーがFK獲得につながり、勝ち越し弾を生んだ。

 芳賀は試合途中には足をつって倒れ込む場面もあったがフル出場。「ボランチをできる選手がベンチにいなかった。つりきるまでやってやろうと思っていた」

 最下位こそ脱出したいわきだが、厳しい状況は続く。遠藤は「一つ勝っただけ。またいわきらしいサッカーを貫きたい」と意気込んだ。(小磯佑輔)

 山口同点弾、チームに勇気

 同点ゴールを決めたMF山口大輝が今季初得点でチームに活気を与えた。「勝利に貢献できて良かった。サイドでうまくバランスを取って攻守でチームを助けたい」と胸を張った。

 前半22分、中央からFW有田稜にパスし、再びボールを受けると左足で得点を生んだ。「先制されたが焦らず自分たちのリズムに持って行けたのが勝因だった」。けがで離脱し前節の秋田戦から復帰したばかり。前線でのボール保持力の高さで攻撃のリズムをつくった。

 埼玉県富士見市出身。「まさか子どものころから応援していたチームから点が取れるとは思わなかった」と喜びに浸った。