遺物注目「装飾性高い漆器」 川俣・前田遺跡、福島県教委公開

 
穴の開いた丸い取っ手が二つ付いた口径約40センチの鉢形の木製漆器。手前に取っ手があり、底が上を向いている。取っ手や縁などに赤色の漆が残っており、大きな木材をくり抜いて作られたとみられる

 国内最古となる縄文時代中期後葉(約4300年前)に火おこしで使われた道具「火切り臼」が見つかった川俣町小綱木の前田遺跡から、装飾性の高い漆塗りの木製品など多様な遺物が出土している。全国的に類例が少ない貴重な資料で、専門家は「縄文人の生活や技術を知る指標」と指摘している。

 県教委が12日、遺物を報道陣に公開した。同遺跡は昨年度から発掘調査が始まり現在も継続中。湧水で水分が保たれた小川跡の土層から、木製品や漆塗り製品、竹製編み物などが出土した。装飾性のある独特の形や、取っ手が付いた漆塗りの木製品は丁寧な造りが特徴だ。

 発掘調査を担う県文化振興財団の中野幸大さんは、複数の竪穴住居跡も見つかっている点を念頭に「出土品の技術の高さに圧倒されている。縄文の"名工集団"を探りたい」とした。

 縄文時代以降の森林資源の利用技術が専門の首都大学東京の山田昌久教授も同遺跡に注目する。特に竹製編み物が出土した点に着目し「小川を利用する際、川底の泥で水が濁ることを防ぐために敷いたとみられる。縄文人の生活の工夫が分かる好例だ」とした。