竪形炉復元!奈良時代の「製鉄法」探る 先人の技術再現に情熱

 
踏みふいごで風を送る参加者。木炭と砂鉄を熱して鉄を作る=13日、深夜

 1000年前の鉄を作る―。奈良時代の製鉄法を探る実験が13、14の両日、福島市で行われ、参加者がいにしえの技を追い求めた。実験に参加した県文化振興財団遺跡調査部の吉田秀享副部長(58)によると、実験結果は「成功とは言えない」が「奈良時代の人に負けるつもりはない」と先人の技術の再現へ情熱を燃やす。

 「ぶぉー、ぶぉー」。炉に風を送る「踏みふいご」を参加者が一定のリズムで踏み込むと、勢いよく炎が立ち上る。実験は、同市の刀鍛冶藤安将平(本名正博)さん(72)方に復元された炉で行われ、県内外から約60人が参加した。

 国指定遺跡の横大道(よこだいどう)遺跡(南相馬市)から見つかった奈良時代の「竪形炉(たてがたろ)」を原寸大で復元し、当時の炉の操業方法や技術を探ろうと、2012(平成24)年に初めて実験が行われ、今回で8回目。

 実験は13日午後7時ごろに始まり、高さ約2メートルの炉に木炭を投入。炉が熱された午後10時すぎ、最初の砂鉄が入れられた。「奈良時代の人も見たはずだよ」と吉田副部長の声に鼓舞され、「かわりばんこ」の語源になったふいごを踏む「番子(ばんこ)」役の参加者は夜を徹し、交代でふいごを踏み続けた。

 初参加の同市の会社員玉根ゆかさん(31)は「ふいごを踏んでいる間はあっという間だった」と汗を拭った。

 砂鉄を投入して約7時間が経過し送風は終了。炉の中から鉄が確認されると、疲れを感じさせない歓声が起こった。ただ、大半は不純物が溶けて固まった「ノロ」。18キロの砂鉄からわずか約1・2キロしか鉄が取れず、吉田副部長は「残念な結果」と失敗を認めた。

 藤安さんは「(刀と同じで)分からないことが多いが、追い掛けた先に必ず答えがある」と参加者を励まし、吉田副部長は「失敗の原因を分析してこれからも挑戦し続ける」と語った。