福島県立博物館で『徳一の謎』に迫る 玄侑さん、赤坂館長対談

 
徳一と最澄の宗教論争について見解を示す玄侑さん(右)

 会津若松市の県立博物館で開催中の福島復興祈念展「興福寺と会津~徳一(とくいつ)がつないだ西と東」に合わせ、興福寺から会津を訪れた僧・徳一に焦点を当てた講演会が19日、同博物館講堂で開かれた。芥川賞を受けた作家・僧侶玄侑宗久さん(三春町)と赤坂憲雄館長、同展を企画した塚本麻衣子副主任学芸員が対談形式で徳一の謎に迫った。

 赤坂館長が1年にわたり毎月1回講話する館長講座「風土の旅学―東北編」の特別編として開かれた。

 玄侑さんは徳一と天台宗の開祖・最澄が繰り広げた激しい論争について「『全員、誰でも成仏できるのか』という点を争った」と解説。その上で「最澄が『誰でも極楽行きの乗り物に乗れる』としたのに対し、徳一はそれは方便だとした。身内が殺害された場合でも『誰でも極楽に行ける』となれば、極楽に行きたくもなくなるだろう」と語った。論争の背景については「どういう人を舎弟に置いているのかが、会津で民衆と接していた徳一とエリートの最澄では相当に違う」と語った。

 徳一が奈良から会津に向かった理由について、玄侑さんは「仏教を信仰している人が入ってきていたという土壌があったのかもしれない」と述べ、赤坂館長は「理由はともかく東北に文化を持ち込み、仏の光を当てた。民衆の不満や不安を取り除く役割を担ったのが徳一ではないか」と語った。