トリチウム含む処理水「長期保管」議論 恒久的には否定的意見

 
長期保管について議論を始めた政府の小委員会

 東京電力福島第1原発で増え続ける放射性物質トリチウムを含む処理水の処分方法を検討する政府の小委員会は9日、都内で会議を開き、漁業関係者を中心に要望のあったタンクによる長期保管の議論を始めた。恒久的な保管に否定的な意見が大勢を占め、風評被害に対する理解が進むまで期限を決めて保管する案などが出された。次回以降も長期保管に関する議論を継続する。

 東電は8日に公表した第1原発敷地内での保管計画に基づく137万トンの容量に、早ければ2022年6月にも到達するとする試算について説明。タンクの大型化で容量を増やすことや敷地外への移送などは困難だとして長期保管は難しいとの見方を示した。

 山本徳洋委員(日本原子力研究開発機構理事)は恒久的な保管について、汚染水処理が日々行われている中、廃炉関連施設の必要性も踏まえ「永久に貯蔵し続けるのは不合理」と指摘、期間を設定するなど条件を付けて貯蔵することを提案した。関谷直也委員(東大大学院情報学環総合防災情報研究センター准教授)は風評被害に対する国際的な理解が不足しているとして「科学的に問題ないから処分して構わないという理由にはならない」と語った。

 廃炉作業と処理水の処分の兼ね合いについて崎田裕子委員(ジャーナリスト・環境カウンセラー)は「処分の道筋を付け、廃炉全体の進行の中で考えることが重要だ」と指摘。委員からは、第1原発敷地内の土砂捨て場にタンクを増設できないかとの意見も出されたが、東電は「敷地内の物は汚染されたという扱いであり、(土砂を)敷地外に出すのは難しい」と否定的だった。

 小委員会は希釈して海洋放出するなど五つの処分方法を検討してきたが、昨夏の公聴会で風評被害への懸念から長期保管を求める意見が相次いだため、長期保管について初めて正式な議題として取り上げた。