第1原発「処理水」見えぬ着地点 タンク960基115万トン保管

 
東京電力福島第1原発の敷地内に増え続けるタンク群

 早ければ約3年で放射性物質トリチウムを含む処理水の保管容量に達するとした東京電力の試算の背景には、今後必要となる廃炉関連施設の建設で敷地に余裕がないという内情がある。9日の政府小委員会で長期保管に関する本格的な議論が始まったが、保管か処分か結論は次回以降に持ち越され、着地点は見えないままだ。

 原発事故後、福島第1原発では建屋内に流入する地下水が汚染水と混じり、それを多核種除去設備(ALPS)で処理した水が増え続ける。周囲の地盤を凍らせる「凍土遮水壁」の稼働などの対策で、汚染水の1日当たりの平均発生量(年間)は、凍土壁完成前の約490トンから2018年度には約170トンまで減少したが、浄化後、東電が採用する1000トン級のタンクに貯蔵すると、数日で1基が満杯になる。

 処理水などは、7月18日時点で約960基のタンクに約115万トン保管されている。東電によると、保管計画とする137万トン分までの増設が終わる20年末の保管量は約126万トンで、その後、1日当たりの汚染水発生量を130~170トンと想定すると、早ければ22年6月に上限に達する。

 処理水は通常の原発運転でも発生し、1リットル当たり6万ベクレルを超えない範囲で海に放出されている。

 小委員会は大気放出や地下埋設など五つの処分方法を検討してきた。原子力規制委員会は科学的な安全性から、希釈した上での海洋放出に容認の立場だが、昨夏の公聴会で批判が集中。タンクでの長期保管を求める意見が相次ぎ、選択肢の一つとして検討することになった。

 ただ9日の小委員会では、廃炉作業との兼ね合いから恒久的な保管に否定的な意見が多かった。東電は、長期保管で放射能量が減少する一方、廃炉に必要な用地を確保できなくなると指摘。さらなるタンク増設は困難との見方だが、「1基も増設できないわけではない」との考えも示す。

 風評被害を懸念する漁業者は処理水の海洋放出に一貫して反対の立場だ。委員からは「敷地が足りないからといって処分の理由にはならない」との指摘もあり、地元が懸念する風評被害への対処を含めた合意形成の在り方が求められる。