「農福連携」福島県内に浸透 派遣数3.5倍、農業携わる障害者

 

 障害者が農業に携わる「農福連携」の取り組みで、2018(平成30)年度に県内の農家に派遣された障害者は延べ701人に上り、201人だった17年度の約3.5倍になったことが17日、分かった。県は「農福連携コーディネーター」の配置で農家と福祉施設とのマッチングが進んだと分析。委託作業が減少している施設側の現状と農家の担い手不足という背景もあり、今後も農福連携の取り組みが重視されそうだ。

 県は16年度、県授産事業振興会に業務委託してコーディネーター1人を配置。以降、派遣人数は右肩上がりとなり、16年度75人、17年度201人、18年度701人となっている。

 コーディネーターで農家の渡部栄昭(ひであき)さん(54)=猪苗代町=は施設側の意向を踏まえ、農家の繁忙期などを捉えて派遣可能な人数を調整。農業に関わりたいという施設への助言や6次化商品開発の相談にも応じており、「1、2年目の取り組みでJAや農家と関係を築き、理解いただけていると感じる」と手応えをつかんでいる。障害者は同行する職員のサポートを受け、農産物の収穫作業や各種農作業の補助、加工食品の企画開発などを行っている。

 一方、マッチングでは農作業に対する施設側の不安や、障害者の作業能力を把握したい農家側の意向など課題も浮かぶ。このため県は本年度、障害者が農業を事前体験する取り組みを実施。コミュニケーションや作業内容など農家と施設側の相互理解を促し、円滑な受け入れにつなげている。

 農林水産省の調査によると、県内の農業就業人口(18年2月1日時点、15歳以上)は5万8200人で、震災前の10年時点の約半分に減少した。

 渡部さんは「県内は広く、コーディネーター1人だとニーズの掘り起こしに限界もある」とし、農福連携の推進には協力者も必要だと指摘する。また委託作業の減少を巡っては障害者の工賃が上がらない実情もあり、県は加工食品などの販売会への参加回数を増やして工賃を向上させる取り組みを検討している。