教員の『多忙』解消期待 長時間労働問題、部活動指導員を倍増

 

 教員の長時間労働が問題となる中、教員退職者や地域住民らが部活動で顧問と同じ役割を果たす「部活動指導員」として活躍している。本年度は6月1日時点で県内の高校30校で35人、中学校30校で41人の計76人が任命を受け、昨年度から倍増した。教育現場では多忙化解消に向けて期待の声が上がる一方、競技の知識と技能だけでなく、教育に理解のある人材の確保などハードルは高い。

 ◆◇◇本年度から就任

 「腰を低く構えて」「スマッシュは強く」。バドミントン部が放課後の練習に打ち込む福島市の岳陽中体育館。部活動指導員の篠木栄さん(67)=福島市=はラケットを握り、部員に優しく声を掛ける。

 篠木さんは市職員時代に競技を始め、旧福島女高で約17年にわたり指導した。退職後の2016(平成28)年度に岳陽中の外部コーチに就任。「教員の負担軽減のためバックアップしたい」と本年度から部活動指導員として週3回、平日2時間、土日3時間程度の活動をしている。

 その間、学級担任を受け持つ顧問は教材研究や生徒指導、テストの採点などに時間を充てられるという。

 ◇◆◇過労死ライン

 県教委が昨年度に実施した勤務実態調査によると、長時間労働が特に深刻な中学校の教員は1日当たりの学内勤務時間が平日11時間11分、土日2時間16分に上る。過労死ライン(おおむね月80時間以上の時間外労働)を超える可能性がある割合は52・2%に達し、対策が急務となっている。

 時間外勤務で最も時間を割いた業務の割合は平日、休日ともに部活動・クラブ活動が最も高かった。競技経験や指導歴がない部活動を任される場合があり、指導法を学ぶ時間も負担となる。部活動の指導に追われ、生徒と向き合う時間づくりや授業の準備に苦慮している現状が浮かぶ。

 ◇◇◆人材不足が課題

 各校は野球やサッカー、吹奏楽、演劇など運動部、文化部を問わず人材を探しているが、経験者が少ないなど課題が多い。

 県中体連は〈1〉教員免許の保有者〈2〉日本スポーツ協会の公認スポーツ指導資格取得者〈3〉自治体、体協、中体連の研修会受講者―のいずれかに該当することを監督の条件とする。

 体罰基準の厳格化もあり、教育への理解や生徒に人間的な成長を促せる手腕が必要だ。

 「教員と部活動指導員の役割分担を明確化すれば、多忙化解消につながる」とする県教委の思いとは裏腹に、部員の人間関係やけがなどを心配して業務を任せきれないケースも目立つという。配置から2年目を迎えた部活動指導員は定着に向けて手探りが続く。