感無量...「大熊イチゴ」本格出荷!心込めた新たな特産品が誕生

 
大熊町の新たな農業の担い手の一人としてイチゴ作りに取り組む梅田さん

 東京電力福島第1原発事故からの復興に歩む大熊、広野両町で、新たな特産品として栽培されているフルーツの収穫が始まった。専用の施設内でたわわに実っているのは大熊町のイチゴと広野町のバナナ。いずれも地元住民らが思いを込めて育てる。19日には両町でセレモニーが行われ、関係者が豊かな実りとともに、古里の元気を県内外の人たちに届けることを誓った。

 大熊町で避難指示が解除された大川原地区のイチゴ栽培施設では、町出資の「ネクサスファームおおくま」の社員の手による「すずあかね」が真っ赤に色づく。社員は県内出身者を中心に8人。同町出身の梅田拓身さん(25)もその一人だ。

 19日に内堀雅雄知事、渡辺利綱町長らが出席して開所式を迎え「町の新たな特産品として、一日も早く県民の皆さんに認知してもらえるよう、今まで以上に心を込めてイチゴを作りたい」と意気込む。

 梅田さんが被災したのは高校2年。家族と共にいわき市に避難した後、東京都内の専門学校で学んだ。一度は郡山市の企業に就職したが、古里への思いを捨て切れず、同じ郡内の楢葉町で家族と暮らしながらイチゴ作りに打ち込む。

 イチゴは当初、7月中旬から出荷する予定だったが、農薬がイチゴ栽培には使えないものだったため栽培したイチゴ全てを廃棄する不測の事態が起きた。それで出荷が遅れたが社員全員で乗り越え、念願の出荷が本格化している。梅田さんは「出荷を通して大熊の復興を肌で感じることができる」と話す。初出荷の時の感動を胸に、町の新たな農業の担い手の一人として町復興のシンボル施設で汗を流す。