イノシシの農作物被害「深刻」 山沿い中心313集落、福島県調査

 
イノシシによる農作物被害の状況

 東京電力福島第1原発事故後に県内で急増したイノシシによる農作物被害について、山沿いを中心とした313集落が「深刻な状況にある」と認識していることが県の調査で分かった。

 市街地などを除くほぼ全域で生息が確認され、繁殖定着していないとみられる会津地方の西部でも雌の分布拡大に伴った個体数の増加が懸念される。県は地元の市町村や集落と連携を強化し、イノシシの侵入を防ぐ電気柵の設置など効果的な対策につなげる考えだ。

 県は昨年度、集落の代表者にアンケートを配布。本年度、地点を把握できた3530集落(質問項目の一部が未回答を含む)を対象にイノシシの生息状況や農作物被害状況を色分けしたマップを初めて作成した。

 被害について回答のあった1784集落のうち「深刻」としたのが18%の313集落で、「大きい」が26%の458集落、「軽微」が47%の846集落だった。また個体数の増減について尋ねた項目では「増えた」が65%に上った。

 県内では原発事故による避難指示が出た地域などでイノシシが繁殖し、生息域を拡大。果樹や水稲の食害や農地を荒らされるなどの被害が相次ぐ。県内の農作物被害額は2011(平成23)年度の4933万円から増加傾向にあり、18年度は7880万円と前年度から1613万円減少したものの、高止まりしている。

 県は18カ所のモデル集落での実証事業や各集落で対策の中心となる人材の育成などを進めている。ただイノシシが地域に定着していると答えた1213集落のうち約2割が「対策をしていない」と回答しており、農家が高齢化している集落などへの支援が課題となる。対策を講じた集落の近隣の地域が被害に遭うケースもあり、広域的な取り組みも必要となってくる。

 県は「木から落ちた柿や生ごみなどを置きっ放しにするとイノシシを引き付ける原因になる。住民の意識向上も図りたい」(環境保全農業課)としている。