「飯舘の味」届ける パン店「あおいそら」、感謝込め移動販売

 
「おいしいパンを届けたい」と笑顔を見せる鮎川さん夫婦

 東京電力福島第1原発事故で休業を余儀なくされた飯舘村のパン店「米粉 あおいそら」が月に1度、村内で移動販売を行っている。「かつてのお客さんが喜んでくれるのが何よりうれしい」。オーナーの鮎川ゆきさん(35)=山形県大石田町=は笑顔を見せる。

 鮎川さんは震災前の2010(平成22)年に埼玉県から村に移住。父邦夫さん(74)、母美代子さん(66)と米粉で作るパン店をオープンさせた。もちもちでしっとりとした食感が特徴の米粉パンは評判を呼び、村の学校給食としても用いられていた。

 村の生活にも慣れ、店もなじんできたタイミングで被災し、山形県新庄市に避難した。先が見えない日が続く中でも米粉に関する講習会を開くなどしていたが、「もう一度、自分の店を持ちたい」と奮起。自宅兼店舗の物件を探し15年、大石田町に現在の店をオープンさせた。

 飯舘での移動販売は、支えてもらった感謝の思いから今年、夫の渉さん(29)と共に開始。「もう村には住んでいないし、受け入れてくれるか不安があった」と鮎川さん。だが、「またこのパンが食べられるんだね。うれしいよ」という、かつての客の一言で幸せな気持ちでいっぱいになった。「これからもできることで村と関わっていきたい」。鮎川さんにとって訪問販売は、村との関わりを感じられるひとときになっている。

 ◆村役場で第4月曜

 移動販売は毎月第4月曜日に村役場で行っている。時間は正午~30分程度。来月は30日に行う予定。問い合わせは同店へ。