廃棄寸前の「もろみ」...洋菓子で復活! 玉鈴醤油&向山製作所

 
販売中の「もろみ醤油薫るラングドシャ」

 廃棄寸前だったこだわりの「もろみ」が洋菓子になって生まれ変わった。生キャラメル生産で知られる向山製作所(大玉村)が、玉鈴醤油(しょうゆ)(伊達市)の「10年もろみ」を使った「もろみ醤油薫るラングドシャ」を発売した。向山製作所の織田金也社長(54)は「互いのものづくりの心から誕生した商品。福島から生まれた新しい味を知ってもらいたい」と話している。

 玉鈴醤油は江戸時代末期から続くしょうゆ醸造元で、原料にこだわり、独自の醸造、熟成方法でしょうゆを造ってきた。2009(平成21)年には、長期熟成させた高級もろみを使って、最高級しょうゆを商品化した。首都圏での販路拡大を進めていたが、11年に起きた東京電力福島第1原発事故で状況は一変。風評で高級しょうゆは売れず、3年前に製造も休止した。

 「会社を懸けて造り、夢も希望もあったしょうゆ。わが子同然で育ててきたもろみを捨てるわけにはいかない」。同社の鈴木利幸社長(43)をはじめ、工場長ら職人たちは、あきらめがつかなかった。かき混ぜる作業などを怠ると微生物が適正に活動しなくなるため、ほぼ毎日、手入れしてきたこだわりのもろみ。廃棄に踏み切れず手入れだけを続け、熟成期間は10年を超えた。

 そんな時、織田社長が伊達市で講演したことがきっかけで両社が出合った。玉鈴醤油と同様に風評と闘ってきた織田社長の話に共感し、鈴木社長も現状を打ち明けた。「手塩に掛けた食材を無駄にできない。『福島の力』をみせよう」。織田社長は10年もろみを使った洋菓子作りへの挑戦を決めた。

 「しょうゆは味と香りのインパクトが強く、本来は洋菓子と合わない。苦難の連続だった」と織田社長。試行錯誤を続け、ラングドシャの生地にもろみを練り込み、ホワイトチョコレートを挟むことで、甘さの中にしょうゆの香りが生かされた商品に仕上がった。

 ラングドシャは16枚入りが1296円(税込み)、8枚入りが648円(同)。向山製作所県内5店舗のほか、東北道安達太良サービスエリア上り線・下り線で販売している。