中小企業の事業承継支援強化へ 福島県、専門家派遣など3本柱

 

 中小企業の事業承継が全国的な課題となる中、福島県は本年度、県内企業に専門家を派遣して事業の円滑な引き継ぎにつなげるなど支援を強化する。県内にある約5万9千社(2016年度、中小企業庁調べ)の中小企業のうち、約6割が「後継者が決まっていない状況にある」という。県は後継者向けセミナーの開催と、資金繰り支援を加えた3本柱で事業承継を後押しし、地域の雇用を守り、企業が培った技術を伝えていく。

 帝国データバンク福島支店によると、昨年度、「後継者難」などを背景に県内で休廃業・解散した件数は346件で、全国では約2万3千件に上った。県は本年度の一般会計予算に「ふくしま事業承継等支援事業」として10億7千万円を計上。従業員が20人未満の小規模事業者や商店街などに経営指導員や中小企業診断士、税理士などを派遣する。事業承継だけでなく、承継後の事業を安定させるため、事業者に寄り添い経営課題などを解決していく「伴走型支援」を展開する。

 後継者セミナーは県内7方部で予定しており、事業を引き継いだ人を講師に迎えて体験談を語ってもらうなど、後継者の事業引き継ぎの準備として役立ててもらう。来年度も続け、財務会計や売り上げアップの方策を集中的に学ぶ「事業承継塾」に発展させる。

 また、事業用資産の取得などに活用できる事業承継資金制度を創設。承継後5年以内の事業者を対象に運転・設備資金を融資する。信用保証協会の保証が融資の条件となるが、県が保証料の一部を補助する。

 県内中小企業の経営者の平均年齢は60.2歳で、全国平均の59.7歳を上回っている。事業承継が進まない理由に後継者不足が挙げられ、県は「家業を継ぐことに魅力を感じなくなっている人が増えている」(経営金融課)としている。このため県は企業の実情に応じた支援を展開、事業を引き継ぐことで地域経済を維持・発展させる考えだ。