「最大の障害...除染廃棄物」 前原子力規制委員長・田中氏講演

 
「県民自らが解決策を考え、克服すべきだ」と語る田中氏

 本県の復興・再生に取り組む地域創造研究所(福島市)は18日、前原子力規制委員長で飯舘村復興アドバイザーの田中俊一氏(福島市出身)を招いた講演会を福島市で開いた。田中氏は原発事故後、被災地に残された除染廃棄物を「福島県の復興に向けた最大の障害」と指摘。その上で「除染廃棄物を県外で最終処分すると法律で定められているが、自分たちが嫌なものを他県で処分してもらうという考えは、私にはできない。県民が自ら解決策を考え、克服しなければならない」と語った。

 地域創造研究所の開設記念講演の一環で、6月に続く第2弾。前回の来場者から「多くの人に聴いてもらいたい」との要望を受け、再び田中氏を講師に企画し、約2800人が来場した。

 田中氏は本県が抱える復興のための課題として、放射線の不安や風評の克服、除染廃棄物の処分などを挙げ、見解を述べた。このうち除染廃棄物の処分に関する解決策の一つとして、帰還困難区域の飯舘村長泥地区で始まっている除染土壌を再生利用した実証事業を紹介し「除染土壌を県内で引き受けるには、安全を担保することが重要だ」とも指摘した。

 また、第1原発の汚染水浄化後に残る放射性物質トリチウムを含んだ処理水について「希釈して海に捨てる以外に処理方法はない。ためておけば漁業が復興できるというのは間違いだ」と強調。「国が漁業者と向かい合って話すという努力をすべきだ。さらに高齢化が課題である漁業者の後継者育成の仕組みも併せてつくることが必要」と述べた。

 畠氏が復興現状説明

 田中氏の講演に先立ち、前副知事で県信用保証協会長の畠利行氏が講話し、本県の復興の現状と課題を説明した。

 畠氏は「昨年の本県への移住世帯数が過去最高になり、アジアを中心に観光客が増えているなど少しずつ変化の兆しが出てきた。本県の今を積極的に発信し、交流人口を拡大させ、移住につなげていくことが大切だ」と述べた。