松川事件...今なお「教訓」 70周年全国集会、後世につなぐ記憶

 
事件発生から70年を迎え開かれた全国集会。会場には約850人が来場した

 福島市松川町で列車が脱線、転覆し乗務員3人が死亡した「松川事件」が8月で発生から70年を迎えたことを受けた「70周年記念全国集会」が21日、福島大で開かれた。出席者が、戦後最大の冤罪(えんざい)事件と呼ばれる松川事件を振り返り、冤罪のない社会の実現に向け、松川事件の記憶を後世につなぐ必要性を共有した。

 「松川事件には多くの教訓が眠っている。ぜひとも後世に伝えていきたい」。全国集会の実行委員長でNPO法人県松川運動記念会の安田純治理事長は、冤罪がなくならない現状に対し、松川事件の記憶が果たす役割を強調した。

 松川事件の元被告20人のうち、18人が亡くなった。当時を知る人が減っていくことで、事件の風化を懸念する声がある。

 そのような中、福島大や同NPOは松川事件に関する関心を高めようと、国連教育科学文化機関(ユネスコ)の「世界の記憶」(世界記憶遺産)登録に向けた活動を進めている。安田理事長は集会で活動への支援も呼び掛けた。

 「自白を証拠の王とする裁判のやり方、裁判官や検察官の考え方を変えることが非常に重要」。集会に出席した元被告の阿部市次さん(95)は、司法制度改革の必要性を訴え、元被告の国家賠償請求訴訟で担当弁護人を務めた鶴見祐策弁護士(85)や元被告の家族らが次々と壇上に上がり、冤罪のない社会の実現への思いを口にした。

 全国集会は、松川事件の元被告の支援者らでつくる実行委員会が主催し、全国各地の支援者ら約850人が参加。最終日の22日は、再審無罪となった布川事件の元被告らが参加するシンポジウムが行われる。