旅館跡を憩いの場へ 磐梯熱海に交流拠点整備、埼玉の男性が私財

 
交流拠点施設の整備予定地

 磐梯熱海温泉(郡山市)の中心部にある廃業旅館「河鹿荘」が撤去され、跡地に親水公園やカフェなどを備えた交流拠点施設が整備される見通しとなった。旅館跡地は長らく廃虚となり安全や景観の面で長年の課題となっていたが、磐梯熱海温泉を愛する一人の男性が私財を投じ、交流拠点として生まれ変わることになった。

 河鹿荘は、約40年前に運営会社が破綻。7階建てで、老朽化した建物から落ちた廃材が車に当たって破損したこともあるなど、地元関係者らが頭を悩ませる場所だった。

 交流拠点の整備に向けた支援を申し出たのは、埼玉県川越市にある建設会社の会長を務める男性(83)。

 男性は磐梯熱海温泉のファンで何度も温泉街を訪れており、「歩いて楽しめる場所があるといいな」と感じていたという。河鹿荘の扱いについて地元で困っていることを知ると、土地と建物を債権者らから購入。解体工事も自費で請け負い、土地の整備に着手した。

 男性は「困っているという話を聞き、何とか力になれればと思った。温泉地のにぎわいづくりに少しでも役に立てれば」と話した。

◆親水公園やカフェ

 旅館跡地の敷地面積は約2200平方メートル。五百川沿いに立地していることから、観光客らが散策を楽しめるよう親水公園を整備し、カフェや飲食店などが入った交流施設も建設する。

 施設内には同温泉地の史料館、公園には高さ約10メートルの観音堂を整備することも計画されている。地元関係者も運営に携わる方針で、施設の運営主体などについて検討を進めている。来春の営業開始を目指す。

 JR磐梯熱海駅周辺では、昨年、行政サービスや教育、体育、観光などの機能を集約した多目的交流施設「ほっとあたみ」が開所。郡山市が日本サッカー協会の支援を受けて整備した熱海フットボールセンターもあり、観光客の増加に向けた相乗効果もありそうだ。

 地元関係者は「長年廃虚になっていて、街の景観や安全性が心配されてきた施設が、善意によって開発されることは本当にありがたい。観光の拠点となるよう、地元としてもしっかり応援していきたい」と期待を寄せている。