期待熱く!ロボテス研究棟30日開所 南相馬に国内唯一の施設

 
施設で長距離無人航空機の開発実験を行う松浦社長(左)らテラ・ラボのメンバー=南相馬市

 福島県が南相馬市などで整備を進めているロボットの研究開発拠点「福島ロボットテストフィールド」の中核施設となる研究棟が30日に開所する。入居する企業・団体が、災害現場などを再現した世界に類のない施設で、最先端のロボット研究と実証試験を本格的にスタートさせる。

 県が見据えるのは産業集積だけではない。実証試験を積み上げ、さまざまなロボットの認証試験や資格認定などを行える国内唯一の施設としての地位を確立させ、需要の独占を狙う。

◆ここにしかない

 「これほどの環境は世界を見渡してもここにしかない」。研究棟に入居したロボット関連のベンチャー企業「テラ・ラボ」(愛知県)の松浦孝英社長(44)は施設の魅力をこう話す。

 同社は、災害時に被災地上空を旋回して情報収集と分析を担う無人航空機(ドローン)の実用化を目指し、施設に隣接する工業団地に工場を設ける計画。松浦社長は「ロボットの開発から実用化、量産化、産業化まで一体で行える。まさにロボット産業の集積地だ」と語った。

◆地元も売り込む

 施設は火山の噴火や地震による市街地の被災、土砂崩れ、水没、トンネルと橋の崩落に対応した各エリアをはじめ、ドローンに対応したヘリポートや滑走路を備える。県などによると、陸、海、空のあらゆる状況を想定した実証試験を行える国内唯一の施設で、世界的にも研究棟などを備え、一体的にロボットの研究開発と実証試験を行える場所はない。

 施設から約10キロ離れた浪江町棚塩地区には滑走路を整備。2地点間でのドローンなどの飛行を行えるようにする。

 県外からの進出企業と地元企業を結ぶ取り組みも進む。南相馬市では、地元企業の支援に取り組む第三セクター「ゆめサポート南相馬」の社員1人を研究棟に常駐させ、ロボットの部品供給などで地元企業が"得意とする製品"を売り込めるようサポート活動を展開。同社が事務局となり、約60社が参画する「南相馬ロボット産業協議会」と進出企業のニーズを調整している。

◆基準づくり先導

 物流やインフラ点検で活躍が見込まれる大型ドローンや空飛ぶ車は関連法の整備が追い付いておらず、実用化しても運用できないのが現状だ。県は施設で実証試験をする企業などと連携してデータを蓄積、業界団体と先端ロボットの運用に関する制度設計に取り組んでいく。ロボットを実用化するための安全性、耐用性の基準づくりも先導し、施設での性能試験が必須となるような仕組みづくりを働き掛ける方針だ。

 施設でドローンなどの操縦士の技能試験を行ったり、認証したりすることも見込む。県は「データ集積から各種制度設計への働き掛けと、中長期的な方向性が決まっている。施設の地位を向上させ、ロボット産業の聖地を目指す」としている。

【ズーム】福島ロボットテストフィールド

 浜通りの産業再生の柱となる福島・国際研究産業都市(イノベーション・コースト)構想の中核施設。総工費約155億円は全額国費。30日に研究棟や瓦礫(がれき)・土砂崩落フィールドなど、10月1日には南相馬滑走路付属格納庫が開所する予定で、全21施設のうち半数の11施設が稼働する。施設全体の開所は来年春。