「駒止湿原」後世に 豪雨災害から復旧、6日・4年ぶりの山開き

 
駒止湿原を後世につなげようと歩み続ける君島さん(左)と室井さん

 福島県南会津町と昭和村にまたがる国天然記念物「駒止湿原」の山開きが6日、2015(平成27)年の豪雨災害による入山規制の解除を受け、4年ぶりに行われる。「自然のおもてなしを楽しんでほしい」。駒止湿原案内の会長の君島満三さん(80)は、南会津が誇る名所の再出発に期待をにじませる。

 同町などを襲った豪雨は、駒止湿原までつなぐ町道や橋を約3キロにわたり崩壊させたが、今年9月9日にようやく道路の復旧工事が完了した。豪雨直後、現場に入った君島さんは自然の猛威を目の当たりにしたという。別ルートで入山の安全が確認された17年からは、土、日曜日と祝日のみシャトルバスが同湿原まで運行され、案内業務は規模を縮小して続いた。

 「先人が築いた大切な場所。どんな困難があっても後世に残したい」。南会津町の湿原を守る会長の室井英彦さん(82)が熱く語る。同町で教諭をしていた故五十嵐徳三氏が植生図などをまとめ、1970(昭和45)年に駒止湿原の学術的価値が認められ、国天然記念物の指定を受けた。君島さんと室井さんは中学時代、五十嵐氏の授業を受けた間柄。「五十嵐先生がいなければ、駒止湿原は残っていない」と口をそろえる。

 旧田島町(南会津町)の町長を務めた室井さんは、駒止湿原の植生に影響が懸念されていた隣接する農地の公有化に向けて昭和村の関係者と奔走、環境保護を推進した。また、五十嵐氏から後進育成の話を受け、2003年に南会津町と昭和村のボランティアでつくる案内の会を立ち上げ、06年には湿原を守る会が発足。駒止湿原に関わる仲間の輪が広がり始めた。05年に亡くなった五十嵐氏の思いは現在も紡がれ、約100人の関係者が湿原の保護や案内活動に携わり、今回の山開きを待ち望む。

 草紅葉で色づく駒止湿原。春には花を保護する役目の仏炎苞(ぶつえんほう)を二つ持つ珍しいミズバショウ、夏に入ると湿原一面を白く染めるワタスゲなどが楽しめる。「保護と活用は道半ば。南会津の観光の核としたい」。2人は駒止湿原を後世に残そうと歩みを続ける。

 山開きは午前8時から南会津町側で行われる。駐車場は約20台分。問い合わせは南会津町教委へ。